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琉球と倭寇に関連する文化講座で登壇した山本氏 =市歴史文化資料館2階・講座室

沖縄海運が世界に果たす役割 倭寇との関係性を探る 稲村賢敷生誕130年記念 山本氏が解説

 市歴史文化資料館で27日から開催中の「稲村賢敷生誕130年・琉球と倭寇のもの語りin宮古島」に関連する文化講座が28日、同資料館で開催された。県立博物館・美術館主任学芸員の山本正昭氏が講師を務め、琉球と倭寇、宮古島の関係性に焦点を当て、新たな認識と、琉球列島の歴史的展開や倭寇の具体像についての研究成果を共有し、琉球の人たちが国を侵略から守るために行った防御、対策について詳しく解説した。
 この企画展は、宮古島出身の郷土史家・稲村賢敷氏の生誕130年を迎えることから、稲村氏が発掘調査した時代から最新の発掘調査や研究成果をもとに、宮古島に影響を与えた海域集団について考え、島の歴史や文化への理解を深めることを目的としている。
 はじめに同課の久貝弥嗣係長は、山本氏を紹介し、14世紀中ごろからの倭寇の活動やその背景についての詳細な解説が行われた。
 倭寇は、日本列島を根拠地として中国大陸沿岸部で略奪行為を行う武装集団であり、また「籌海圖編」に記された倭寇の活動ルートや悪党との関係性についても触れられた。
 山本氏によると琉球と倭寇の関係は、中国大陸や朝鮮半島との交易を通じて形成されたものであり、この地域の歴史的な展開を理解する鍵を握っているとのこと。
 倭寇という存在は、主に大陸沿岸部や朝鮮半島で活動していたが、琉球列島にもその影響は及んでいたという。
 特に14世紀後半からは倭寇による被害が多発し、琉球は明朝との朝貢関係を深めていった。この時期、琉球は明朝から優遇政策を受け、新たな交易システムが東アジア海域に構築されることになる。
 また、山本氏は研究者たちの取り組みや、近年の水中文化遺産を通じた研究動向にも触れた。これらの研究は、中世東アジアの動向をより深く理解するための重要な手がかりだとしている。
 さらに、現代のグローバル化の進展とともに、沖縄の海運や物流が世界に果たしている役割についても言及し、歴史上の倭寇の動向と琉球の交易が現代においても重要な意味を持つことを指摘した。
 講座に参加した市民は熱心に学び、山本氏へ多くの質問を寄せた。また、山本氏は展示物の解説を通して、宮古島の歴史と文化への理解を深め、関心を高めた。

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