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昨年8月のダイビング船転覆事故で救助作業の様子 =第十一管区海上保安部提供

下地島沖ダイビング船事故で報告 船転覆の原因解明 運輸安全委報告書公表 JCI の検査不備指摘

 国の運輸安全委員会は26日、昨年8月に下地島の沖合でダイビング客20人を乗せた船が転覆した事故で報告書を公表した。報告書では転覆の原因を天候悪化の中、仕切り板を外した船尾開口部からの浸水によるものとし、また当運航会社は法律に基づく検査も不十分。国の監査対象外で安全管理規程の作成義務もなかったうえ、定員を超える乗船人数だった。さらに国の検査代行機関「日本小型船舶検査機構(JCI)」も不備を発見できていなかったと指摘した。
 2023年8月16日、下地島空港北側から約2700㍍の沖合でダイビング船「クリスタルM」(4・8総トン)が転覆する事故があり、宮古島海上保安部が石垣航空基地と協力し、計20人の乗員を無事救助し、全員にけがはなかった。
 報告書によると、天候が悪化する中、船の後部にある仕切り板を外していたうえ、約1㌧の潜水機材を積んだ状態で運航したため、沈みやすい状態の後部に波を受け、海水が流れ込んだことでエンジンが停止し転覆に至ったとのこと。
 また同運航会社は、乗船人数を最大で24人だとしてたが、同委員会調べによると、仕切り板を外した状態では11人が上限であり、過人数だったことも転覆の要因になった可能性が高いとしている。
 仕切り板については、06年の同船初回検査時には取り付けていたものの、運航会社の従業員が海への出入りをしやすくするために取り外していたうえで、船の修理や改造をした際に実施する臨時検査を受けていなかった。また、定期的な検査でもJCIからの指摘はなかったという。
 さらに同運航会社は国の監査の対象になっておらず、安全管理規程の作成や、届け出が義務づけられていなかったとのとこと。
 このため、同委員会は、国の実態把握が十分ではないと指摘したうえで、報告書では国や地方自治体などに対してもダイビング船の運航実態の把握に努め、重層的な安全管理と指導をすべきと指摘した。
 JCIは、22年の知床半島沖(北海道)の観光船沈没事故3日前の検査で、船のハッチ蓋を目視で「良好」とし、不具合を見抜けなかった経緯がある。

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