前年決算審査が始まる 予算決算委 市担当部局が歳出説明 繰越金・不用額に質問集中
開会中の宮古島市議会は6日、予算決算委員会(下地茜委員長)を開き、2023年度宮古島市一般会計決算審査に向けて質疑を行い、市担当部局から歳出事項に対する詳細説明を受けた。予算決算委員会は2日間開催され、初日は①議会費②総務費③民生費④労働費⑤商工費⑥土木費⑦消防費⑧災害復旧費⑨公債費⑩書支出金⑪予備費―の11項目の歳出に対する質疑が行われ、委員からは繰越金と不用額の発生理由の確認が相次いだ。
決算審査初日は各歳出項目に対する質疑が行われ、市担当部局が各事業内容や成果報告を行った。23年度一般会計の歳出決算では、454億円余の予算現額の約5%となる24億9798万円余の事業費が翌年度繰越となり、同約3%の14億4899万円余の不用額が発生した理由に質問が集中した。
計画の詳細見直しや工事日程の変更などで発生する翌年度繰越金は、補助金を含む予算執行は消滅しないものの、遅延による行政事務負担などが発生し、新しい事業への着手が困難となる可能性があることから、市議会としては、これまでも期間内の事業完了を求めてきた経緯がある。
不用額とは、国や県への補助交渉を経て確保した予算のうち支出に至らなかった費用であり、同予算は失効となる。不用額の発生理由は、事業事務に係る人員確保ができなかったことや、工事などの入札結果による残額などが主となるものの、事業の想定と実績に大きな差が生じて不用額が発生する事案もある。市民の福利厚生のために確保した予算が失効することの社会的影響は大きいことから、市議会の反応も敏感となる。
同決算でも、住宅確保給付金事業の不用額について市は「給付対象を80世帯として予算確保したが、給付実績は2世帯となった」と説明した。少子化対策として導入した結婚新生活支援事業で発生した不用額も、市は「対象世代の婚姻実績から155件分の予算を確保したが、実績は47件への給付に止まった」とし、給付実績の低調要因を「国の給付基準と合わない事例が多かった」と解説した。
地域賑わい委員会費の不用計上では「地域個別のヒアリングを中心に行ったことで、予定した委員会開催には至らなかった」としたほか、シニアカー購入補助で不用額が発生したことに対して、委員からは「補助対象者を免許返納者に限るのは公平性に欠ける」と声が上がった。
9日の委員会では、そのほかの歳出項目に加えて、市税収入が減少に転じた歳入に対する質疑が行われる。