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沖縄予算2820億円 4年連続で3千億円下回る 25年度概算要求 離島振興は別枠に計上

 【那覇支局】内閣府は30日、2025年度の沖縄関係予算として、2820億円の概算要求と金額を定めない事項要求を財務省に求めたと発表した。24年度概算要求と比較して100億円減少したが、24年度当初予算比では142億円増加した。一方で、県が求める3000億円を下回るのは4年連続。使途の自由度が高い沖縄振興一括交付金は前年度比20億円増の783億円を要求。また、沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業など離島振興は別枠で予算計上した。概算要求での増額要求は2年連続となる。離島における旅館業用建物等の課税の特例などの税制改正の2年間延長も併せて要望した。
 一括交付金の内訳は観光振興や人材育成のソフト交付金は24年度当初予算と同額の394億円、社会資本や施設整備のハード交付金は同20億円増の388億円。
 離島振興では、条件不利性の克服や持続可能性の維持向上に向けた事業支援などの離島活性化推進事業は同9億円増の35億円、小規模離島を結ぶ海底送電ケーブルの整備事業支援の小規模離島生活基盤整備推進事業には同額の7億円を盛り込んだ。新規では、地理的不利性から生じる流通コストの負担を軽減する農林水産物条件不利性解消事業に22億円、離島住民の割高な移動費を軽減する取り組みを支援する沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業に31億円、無電柱化の加速化に向けた支援を行う離島無電柱化緊急対策事業に3億円、条件不利性の高い小規模離島を対象に子育て支援などを行う小規模離島生活環境確保支援事業に5億円を計上している。
 国が市町村に直接交付する沖縄振興特定事業推進費は15億円増の100億円を求めた。前年度同様、高い水準で政府は減額による市町村の不満を和らげるとともに県の裁量を狭める狙いがあるとみられる。
 新規では駐留軍用地返還後の自治体の計画的な土地取得を支援する駐留軍用地跡地先行取得事業費に68億円、教育、医療、福祉など分野横断的な研究を支援するこどものウェルビーイング実現に向けた調査研究等事業に2億円を要求する。
 税制改正では、離島における旅館業用建物等の課税の特例や観光地形成促進地域や産業イノベーション促進地域などへの減税措置など6項目の2年間延長を要望した。
 自見英子沖縄担当相は同日、「『強い沖縄経済』の実現に向けて、25年度沖縄振興予算が最大限に活用され、県民の皆さまの暮らしの向上や豊かさを実感できるよう、引き続き関係者の声を丁寧に伺いながら、財政当局との折衝などにしっかりと取り組む」とコメントを発表した。
 玉城デニー知事は、「配慮をいただいた」と謝意を述べるも「総額3000億円台に届かなかったことに加え、沖縄振興一括交付金も県と市町村が求めてきた所要額と、なお乖離(かいり)があることは大変残念である」とコメントした。
 その上で「県として、内閣府をはじめ関係機関との連携を密にし、事項要求を含む所要額が予算措置され、沖縄振興一括交付金についても概算要求額以上の額が確保されるとともに、税制改正要望の実現が図られるよう取り組む」と力を込めた。
 那覇市内で記者団の取材に応じた座喜味一幸宮古島市長は「離島振興についてソフト交付金ではなく、新たな振興交付金として要求したことは一歩前進だと思う。県の裁量で決まっていたことが国の離島振興の柱に盛り込まれたのは前進している」と話した。

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