伝統大綱引き熱気、歓声 旧盆行事「祖先を送る」 上野宮国 住民らクイチャーで鼓舞
旧盆送り日の18日夜、上野宮国で伝統行事の大綱引きが行われた。宮国公民館前の交差点を中心に東西に分かれ、大勢の住民や観光客らがキャーン(シイノキカズラ)で編んだ網を引いた。熱帯低気圧の影響で小雨もあったが始まる頃には上がった。東西から「東里」、「西里」の旗頭を持った住民らが集まり、「宮国のクイチャー」を踊り会場は熱気と歓声が響いた。合図とともに綱を引き合い、勝負は「西里」が2勝した。住民らは今年も大綱引きを楽しみ、先人から受け継いできた伝統行事で祖先の霊を送った。
東西に分かれた大綱引きは、午後7時半ごろから東里と西里の子どもたちが旗頭を手に四辻でクイチャーを踊りながら宮国公民館前の交差点に集まった。ここでもクイチャーを踊り、住民や観光客らが取り囲み早くも熱気が漂った。その中、大人も入り一緒にクイチャーを踊って盛り上げた。
熱気のなか東西の青年らもクイチャーを踊り大綱を担いで運び、高々と持ち上げて気勢を上げた。このあと東西の綱の先端を寄せ合い、丸太の棒を入れて40㍍(東20㍍、西20㍍)ほどの綱が一つになった。
その時に歓声が上がり、合図とともに綱引きが始まった。東西の住民らは引き合い、周囲で見守る人たちの応援にも力が入った。
西里の2勝で勝負が決まると綱は切り離され、西里と東里それぞれで綱の材料となるキャーン集めや綱網みを中心となって行った「ツナシードゥ(網生徒)」らによって先端が斧で切り落とされて御嶽に奉納した。
宮国の大綱引きの伝統行事は中学2年の男子を中心に行われる。今年の綱引きに向けては東西の生徒やその親らがキャーンの材料を集めを行い協力して編んだ。
東里の下地慶くんは「キャーンは伊良部島や友利などで集めた。網をつくったので綱引きでは楽しみたい」と話した。伝統行事については「先輩たちが受け継いできたので、今後も継いでいきたい」と語った。
下地くんの父・亮さんは「今は少子化など時代の流れで大人も一緒にしているが、(本来は)中学2年が中心となって始まった伝統行事。材料不足など難しいところもあるが(今後も)継続してほしい」と語った。
宮国自治会の平良幸弘会長は「大綱引きは自治会にとっても大事な伝統行事であり、今後も継続に向けて協力していきたい」と話した。