• HOME
  • 記事
  • 社会・一般
  • 宮古島市で来年度開催 偏見解消へ国と意見交換 全国ハンセン病療養所連絡協 合志市総会を報告
総会や来年は宮古島市で開催することなどを報告した嘉数副市長(中央)、狩俣市民生活部長(右)ら =市役所

宮古島市で来年度開催 偏見解消へ国と意見交換 全国ハンセン病療養所連絡協 合志市総会を報告

 嘉数登副市長は30日の記者懇談会で、熊本県合志市で開催した2024年度全国ハンセン病療養所所在市町連絡協議会の総会に出席したことや25年度総会が宮古島市で開催されることを報告した。同会は宮古島市、東村山市(東京都)、鹿屋市(鹿児島県)などの12市町で構成しており、総会は持ち回りで行っている。各療養所では入所者の減少や高齢化による将来構想が議論されており、厚生労働省とは▽療養所の今後の在り方▽依然として深刻な偏見差別に対する具体的施策▽将来構想・永続化についての国における検討状況▽将来構想計画の再策定―などで意見交換が行われたという。

熊本県合志市で開催された総会=11日(提供)


 総会は11日に行われ、国立ハンセン病療養所が所在する全国12市町や熊本県、厚生労働省から約80人が参加。宮古島市からは嘉数副市長、平良敏夫議長、狩俣博幸市民生活部長や担当職員らが出席した。
 23年度事業報告、24年度事業計画などの審議や25年度開催地の宮古島市を確認したほか、元患者や家族への差別解消、入所者の生活環境整備などを国に求める決議も採択した。
 厚生労働省との意見交換会では、療養所の今後の在り方に複数の自治体から質問があった。23年12月に実施した全国的な意識調査の結果で「ハンセン病への偏見差別が現存し依然として深刻である」として、今後の具体的施策についての国の考えも聞いた。
 将来構想については、宮古南静園も策定を行っているが、それの見直しが必要ではないかとの意見があり、それを受けて国としてどうしていくかの意見交換も行われたという。
 12日は菊池恵楓園の視察が行われた。参加者らが慰霊献花のあと園長や自治会副会長らとの懇談会が設けられ、その後資料館を見学した。
 嘉数副市長は「歴史資料館には入所者が使っていた家財道具や(当時の状況を)詠んだ句があった。病にかかり隔離され、家族にも会えない苦しさを詠んだ句には衝撃を受けた。そういった歴史があることを来年宮古島市で開催されるので市民ともども考えていく必要がある」と話した。
 総会への出席で全国のハンセン病療養所や入所者らの実態が分かったという。「人権抑圧の歴史を後世にしっかりと伝えていくためにも(療養所の)施設は開放し、人権教育などに生かしていくべきところで将来構想が全国で議論されていることは非常に重要である」とも語った。
 宮古島市開催に向けては「これから具体的な検討に入っていくが、将来構想や他自治体の啓発活動が参考になったので受け入れ自治体として何ができるのかについて検討していきたい。(個人的には)市民にも分かりやすい形でできないかと考えている」と話した。
 5月1日現在の全国13療養所の入所者数は718人、平均年齢は88・3歳。宮古南静園の入所者数は35人、平均年齢は91・0歳となっている。

関連記事一覧