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来間玄次氏

写真で語る福木巨木の魅力 県民カレッジ 来間玄次博士が発表 奄美から台湾までの調査成果

 宮古教育事務所の事業2024年度県民カレッジ主催講座および宮古地区広域学習サービス講座「写真で見る宮古諸島の福木巨木」が6日、宮古合同庁舎で開かれた。講師に農学博士で技術士の現多良間村政策参与の来間玄次氏を招き、自身らが調査した奄美群島から台湾までの福木(フクギ)調査を写真と共に振り返った。市民20人が参加し、講座後には城辺友利や保良などの視察も行い、古くから愛される福木巨木の持つ魅力とその保全の重要性が共有された。

講座参加者はメモを取るなど福木巨木への知見を深めた=宮古合同庁舎5階・会議室


 来間氏は1951年多良間島生まれで75年に琉球大学農学部林学科卒業後、97年に農業部門の技術士資格を取得、2013年には鹿児島大学大学院連合農学研究科で農学博士課程を修了。22年4月から多良間村政策参与となった。調査は琉大名誉教授で成川出身の仲間勇栄氏と共に13年3月から21年5月までの長期間にわたり二人三脚で実施したという。
 来間氏は「これまでの樹齢研究から1730年後半から屋敷林や御嶽林として大々的に植林され始めた」とその歴史的意義について語った。
 特徴については「防風林や防火林として利用され、また建築材や染料としても重宝されてきた。さらに、津波などの自然災害に対する防災機能も持ち合わせている」と説明した。
 また、市内の調査結果も紹介。狩俣に位置するイスウツ御嶽の福木巨木は樹高12・32㍍、根元直径93・50㌢、推定樹齢290年とされている。また、ザーヌ御嶽の福木巨木もほぼ同じ樹齢であり、両者は1725年ごろに植えられたと推定されるとのこと。そのほか忠尊氏仲宗根(豊見親家)、住屋御嶽のほか多良間島など福木巨木を紹介した。
 さらに、樹齢349年の奄美群島喜界島と金武観音寺の福木巨木や沖永良部島の福木巨木(樹齢332年)など、各地の福木巨木も紹介した。台湾の福木巨木は成長が早いことも挙げられた。
 その結果、福木巨木はその土地の歴史や文化を象徴する存在であることを再確認。来間氏は、「保存には地域の皆さんの協力が不可欠であり、ぜひ守ってほしい」と述べ、その重要性を訴えた。
 講座後には城辺友利の金志川豊見親(キンスキャートゥユミャ))屋敷跡遺跡や同保良などの福木巨木を巡り知見を深めた。
 同教育事務所担当者からは「御嶽などは地域の人たちにとっては神聖な場所なので、許可のない立ち入りは遠慮してほしい」といった呼び掛けも行われた。

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