玉城県政に厳しい評価 県議選解説 自民多数でねじれ

 【那覇支局】16日投開票の県議会議員選挙で野党の自民と中立の公明、維新などが過半数の24議席を超える28議席を獲得した。自民中心の勢力が議会の過半数となるのは2008年以来、16年ぶりとなった。2期目の玉城デニー県政の「中間評価」と位置付けられていただけに、有権者の県政への厳しい姿勢が鮮明になった。野党・中立が過半数を獲得したことで、玉城知事は厳しい県政運営を迫られることになる。自民は今回の勢いそのままに26年の県知事選で勝利し、県政奪還を目指す。
 自民は県議選で過半数奪還のために、ことしに入って突如計画が持ち上がったうるま市のゴルフ場跡地への自衛隊訓練場の整備計画を巡り、県議選の争点になることを防ぐために計画撤回を防衛省に申し入れるなど早期の鎮静化を図った。国政で自民党の裏金問題による影響も考慮し、選挙期間中は自民色を薄めることで得票を伸ばすことに成功した。また、候補者の数も前回より増やしたことで、当選者も増加し、公認候補は全員が当選した。
 与党は全国的に吹き荒れる自民の裏金問題を追い風にできず、当選者を減らす結果になった。米軍普天間飛行場の辺野古移設の是非も最高裁判決が出た状況で県が新たな対抗策を講じられない中、支持を広げることができなかった。また、一部選挙区では候補者調整が上手くいかなかった影響で当選者を増やすことができなかった。
 年内にも実施の可能性のある衆院選についても、宮古島市や多良間村を含む4区では、与党は議席を減らし、宮古島市区と糸満市区では与党議員がいなくなった。与党の「オール沖縄」は、まだ4区の候補者を選考しており、今回の結果を受け、早期の決着が鍵になってくる。
 一方で、県議選の投票率は45・26%と過去最低を更新し、県民の半数以上が投票に行っていない計算になっており、与野党問わず、県民の声を聞けていない現状もある。当選者には自分の声を届けたいと思える熱い議論を期待し、県政の発展、生活の向上を実感できる社会の実現に取り組んでほしい。
(那覇支局長 比嘉佑介)

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