新年度予算を原案可決 予算決算委2日目 旅費支援で方針不一致
市議会予算決算委員会(下地茜委員長)は8日、2024年度一般会計予算の審査を全員協議会室で開催した。審査2日目は41億円余の衛生費、39億円余の農林水産業費、41億万円余の教育費の歳出に対する質疑のほか、総額422億円余の歳入について市当局から説明を受けて歳入歳出審査を終結した。委員会表決は全会一致で原案可決となった。同予算案は27日の市議会本会議で最終採決を行った上で成立する見込みだ。
大幅増となった教育予算で看板事業となるのは、英検・漢検・数検等の各種検定料を4割補助から全額補助への拡充と市立小中学校の修学旅行費の全額補助を実現する約1億円の予算計上だといえる。市は「検定料負担の無料化は児童生徒の基礎学力向上を目指す取り組みで、受験希望者全員へ支援を行う」としたのに対し、修学旅行費の全額補助では「県立特別支援学校小中等部に通う児童生徒への旅費支援は行わない」と説明した。
委員から「特段の事情を抱えて市立校に通うことができないが、同じ宮古島市の小中学生なのに支援できないのか」と問われ、市は「県からの各種補助金がある」と回答した。委員は「県立高校生の選手派遣費は補助するが、県立小中学生は補助できないのは矛盾している」と再検討を求めた。
就学支援扶助費の増額について、市は支給対象の児童生徒が増加傾向にあり、23年度では小学生全体の26%、中学生の31%へ支給している」と説明した。
少子高齢化対策や市民生活関連の支援事業で構成される衛生費では、新規事業として骨髄バンクドナーを支援する助成事業、健康教育事業(子どもの肥満対策、子どもの虫歯対策、健康づくりスポーツ教室)の実施概要が紹介された。
海岸漂着ごみの処理事業について、委員が「漁場としても観光地としても海浜整備は重要」とし、「環境省や国交相は同事業に対して多くの補助メニュー準備している」と国庫補助の積極活用を求めたほか、「産廃事業者の事業停止処分でごみの不法投棄が増加する可能性がある」との委員の意見に対して、市も同様の不安があるとし「事業系ごみであっても、可能な限り市クリーンセンターで受け入れられるよう調整を急ぎたい」と応答した。
農林水産業費の質疑では委員から「市長の肝煎りで実施した農地・地力アップ実証事業がない」と指摘され、市は「同実証事業は5月頃に結果報告する」とした上で、「24年度は発展事業として狩俣地区に堆肥製造施設を整備する」とした。委員が事業計画の開示を求めたのに対し、「事業計画は現在調整中」と市が回答したことで「計画のない予算の計上はおかしい」との意見が出たが、市からの明快な回答はなかった。
支援拡充については園芸施設設置補助事業に補助率50%(上限50万円)のビニールハウス修繕補助制度を新設、営農安定化支援で各種保険料補助の拡充を示したほか、ICTを活用した肉用牛監視システム導入に対する補助金拡充を行ったと説明とした。