質問が集中した旧校舎無償譲渡案に答弁する大城教育長 =市議会本会議場

旧校舎無償譲渡を懸念 来間小中学校 「地域利益の最大化」鍵

 宮古島市議会(平良敏夫議長)は5日、3月定例会本会議を開き宮古島市(座喜味一幸市長)から提出された条例案、同意案など39議案に対する質疑を行った。多くの議員から旧来間小中学校校舎等を民間事業者へ無償譲渡する議案に対して質問が挙がったほか、農業委員選任同意案や市肉用牛センター条例の制定、上野出張所移転の経緯などが質疑された。議会上程された55議案は常任委員会での審査を経て、27日の最終本会議で採決が行われる。
 旧来間小中学校の跡地利用とした校舎等を民間事業者へ無償譲渡する議案に対して質問が集中した。同議案は廃校利活用により地域活性を目指す取り組みとして期待されるものだが、議員から「無償譲渡先である民間事業者(本社・浦添市前田)が提出した事業計画からは、住民との連携体制や地域への利益波及効果が不明瞭」などと懸念の声が相次いだ。
 市教委は事業者選考の経緯を「来間自治会から民間事業者との共同事業として提案があり、地域からの要請を優先させるという廃校利活用方針に沿って、同事業を選定し公有財産検討委員会の審査を経て、同校舎の無償譲渡を決定した」と説明したが、議員は「未認定の補助金に依存した整備計画となっている。現段階で未確実性の高い事業に公有財産を無償譲渡するのには疑問がある」と応じた。
 市食肉センター条例の新設について、議員から同施設は公有財産の個別利用計画で売却とされている中で条例提出された理由を聞かれ、市は「同施設は長年明確な規定のないまま運用されてきた。売却検討を進める中で、一部に2024年まで対応年数が残っている施設があったことから、次年度は条例制定による運用と売却に向けた手続きを並行して行う」と回答。
 農業委員選任同意案では、候補予定者からの辞退が続き、座喜味市長が委員会改革の核として主張し続けた「女性・若者の積極登用と中立委員の2人体制」は実らず、女性委員は1人減少、中立委員1人体制での提案となった。この事態を市は「新体制の構築は今後の課題となる」としたほか、上野出張所の公民館への移転理由を「旧上野庁舎を6次産業化の拠点施設として活用する上で、加工施設等のスペース確保のため」と説明した。

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