知事「引き続き調整したい」/長官「民生利用などに意義」 特定利用空港・港湾
【那覇支局】林芳正官房長官は28日、県庁で玉城デニー知事と県庁で会談した。林氏の沖縄訪問は昨年12月の就任以来、初めてとなる。会談は冒頭を除き、非公開で行われた。会談では「特定利用空港・港湾」など県内諸課題について意見交換を行った。また、玉城知事から林長官に尖閣諸島の問題への対応や安保関連3文書の改訂に伴う自衛隊配備や重要土地等調査法の運用など16項目の要望書も手渡された。
会談後の会見で玉城知事は自衛隊や海上保安庁が平時から必要な空港や港湾を円滑に利用できるよう調整している「特定利用空港・港湾」について「取り組みの詳細が現時点で特に予算などが不明であること、沖縄振興予算の外側にしっかりと位置付けられることについて不明であることから判断することが難しい」として、「引き続き調整をさせていただきたい」と答えたと明らかにした。
林長官からは「振興予算については2678億円を計上し、4項目の税制項目も3年間延長した。南西地域の部隊配備については抑止力や災害、国民保護の観点からも必要であり、『特定空港・港湾』についても民生利用、国民保護や災害対策に意義がある。引き続き詳細について情報提供していきたい」との返答があったという。
宮古からは宮古、下地島両空港と平良港、県内では宮古の3カ所を含む12カ所が「特定利用空港・港湾」の候補地になっている。
県は要望書で▽離島振興の取り組みへの支援の充実や強化▽下地島空港などへのCIQ(税関・入国管理・検疫)審査体制の充実強化とそれに必要な措置▽分蜜糖製糖工場の安定操業への財政支援▽普天間飛行場の早期返還▽辺野古移設計画の断念▽尖閣諸島が歴史的にも国際法上も日本固有の領土であると国際社会に明確に示す▽今後の自衛隊の配備の予定や検討状況など事前に丁寧な説明を行う▽反撃を加えることのできるミサイルなどを配備しない▽重要土地規制法の注視区域などの指定は県の実情を踏まえ、最小限度にし、厳格に順守する―ことなどを政府に求めた。