農業委員選考の正当性調査① *社説*

 市議会で農業委員の選任同意案が『廃案』となる前代未聞の事態が起きた。原因は選考根拠となる評価点数とかけ離れた候補者が選任されたことで「特別職の公務員である農業委員の選考過程で、法令や規則を逸脱した人選があったのではないか」という疑惑が農業委員会に向けられた▽農業委員会は市議会で一貫して「正当な審査」を主張。「評価点数と人選に大きなズレがある」を指摘されると、なぜか担当外の総務部長が答弁に立ち不明瞭な解説を加えた。この不可解な応答に市議会は混乱したが、後に「農業委員会が市長に報告した選任案に市上層部が変更を加えた」ことが判明し、疑惑の焦点は市上層部へと移った▽市は変更の正当性を「市長固有の任命権に基づいた『市長の総合的な判断』による正当な変更」だと説明。この説明を発端に「公人選考の基準を『市長の総合的な判断』とすること」への不適正さが指摘され「市長の恣意(しい)的な人選よって選考の公平性・透明性が崩された」との意見が噴出。議論の末に「市が独自に中立委員を1人増やして2人制にしたことで『認定農業者を過半数以上選任する』という『法令規定の未達成』が発生している以上、議会審査に値しない」との認識が広がり選任同意案の採決が見送られた▽全国的に例のない農業委員の議会不承認という不名誉を受けた市長は、すぐさま「農業委員会が権限のない区割りをしたことが混乱の原因」だとして農業委員会の事務執行の不備を問題視した。市から独立した行政委組織である農業委員会に対する、市長のこの不敬発言が市と農業委員会の対立構図を先鋭化させた▽農業委員選考課程を明らかにし、選考の公平性・透明性を判断する目的で市議会に設置された調査特別委員会は、市と農業委員会のどちらに農業委員候補者の『評価・選考』をする権限があるかについて聴取を行ったが、双方ともに地方自治法180条規程を根拠に権利を主張したことで議論は混迷していく。(続)

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