初日5議員が登壇 市議会一般質問

 宮古島市議会(平良敏夫議長)では12日から一般質問が始まり座喜味一幸市長の政治姿勢や市の施策全般に対して全23人(議長を除く)が質問を行う。一般質問は18日までの平日午前10時から。

■我如古三雄「売却は地域合意前提」 うえのドイツ文化村

 質問に立った我如古氏は上野地区で議論となっているうえのドイツ文化村の売却理由を問い、市から「公共施設の維持管理費の削減を目指しており、同施設は行政管理より民間売却の方がより良い整備が可能となる」と説明を受けた。
 市の負担軽減に理解を示した我如古氏だが「地域住民に丁寧な説明と合意に基づく売却手法」を強く求め座喜味一幸市長が「同施設は上野地区の地域活性の柱であり、地域に恩恵をもたらす売却手法を検討し、住民の理解を得たい」と回答した。同施設内のパレス館について市は安全確保のうえで耐力度調査を行うと示した。
 旧町村部の高齢化の解消に向けて市に定住促進策の弱さを指摘し専門組織の設置を要請。同地域の住環境向上の有効策として宮古空港横断トンネルの早期整備を主張し、「市の熱意で大橋架橋などを実現してきた。県との交渉を超えた新たな行動が必要」だと問うた。市は「同事業の検討に向けて次年度は整備条件、整備効果、概略設計の予算化を県に要望している」と回答した。我如古氏は「同トンネルが災害時には住民避難シェルターとしての活用」を提案したほか、島内森林面積の増加策も求めた。

■仲間誉人「幹線道路整備が急務」 佐良浜地区のインフラ改善求め

 前浜ビーチと渡口の浜を対象地とする市水上オートバイ安全利用条例の利用者周知の手法を確認し、市は「市ホームページへの掲載やリーフレットの配布、対象海岸への看板掲示などで周知」と説明。仲間氏は現状手法に加えて「島の玄関口である2空港での観光客に伝える必要」を訴え「条例内容だけではなく、海中地形の注意箇所や漁場情報を掲載すると安全性が向上する」と提案した。
 仲間氏は伊良部商工会が地域活性化に重要な機関であるとの解説を行い、「伊良部商工会が来年度の支援補助を要請する市長面談が前日にキャンセルされた」ことを問題視し理由を確認。市は「予算編成に係る内容なので担当部で対応することとした」と説明した。
 窮屈な道路が複雑に絡みあう佐良浜地区の交通インフラ改善を求め、「緊急車両が侵入できない道もあり、暮らしの安心・安全のためには同地区における幹線道路整備が必須」だと主張した仲間氏に対し市は「道路整備の必要性は熟知しており、都市計画編入等も考慮して前向きに検討する」と答弁。この答弁に対し2年間同様の対応であると仲間氏は指摘し、同整備への特命班設置を強く要請した。

■上地廣敏「基準緩和で農村振興を」 農地転用許可基準

 上地氏は下地竹アラ地区ほ場整備の遅れを指摘し事業の進ちょくを確認した。市は「同地区ほ場整備は2022年度完了予定から24年度へ延長。畑地かんがい整備も23年度の着工予定を24年度整備に変更した」と説明。上地氏から「事業遅延によって耕作者から損害補償の意見も多い」とし、「市は金銭的な補償に代わって肥料・農薬等の助成を行う」とした方針への現状の取り組みを問われた市は「まだ支援は行えておらず農家からの意見を取りまとめている段階」と回答。
 「全国一律の農地転用許可基準に照らして宮古島での転用審査を行うことで多くの不具合が起きている」とし基準緩和交渉について質問。農業委員会は「県農業会議と基準緩和に向けた協議を重ねているが実現に至っていない」と説明した。上地氏は「耕作地に隣接した住宅の建設を可能にすることで若手農家の定住が促進される。旧郡区の活性化には同方針に基づく基準緩和が重要施策となる」と話し、今後の粘り強い交渉を求めたのに対し市長が答弁に立ち「現場の声として同様の訴えを受けており、地方分権の仕組みを丁寧に探り施策を展開して課題解決につなげたい」と回答。

■砂川和也「寄付額54億円実現を」 企業版ふるさと納税

 前定例会で市営住宅の入居について若者枠の設置を要望した砂川氏は同方針の進ちょく状況を質問。市は「市営住宅の地域対応活用計画を県に提出をして総合事務局と協議中」とし「早急な実現を目指す」と回答。実現可能性を再度問われた市は「長期間空き家となっている4団地10戸を来年度からの提供を目指し県と調整を図っている」とした。
 奨学金返還支援制度の質問に「来年度より県の支援制度と連携して市でも支援制度を実施する」と市が応答し、支援詳細を「奨学金返済支援を行う県内企業に対して県が同返済額の半額を補助しており、市は県の補助対象の島内企業の負担額に対して半額の補助を行う」と説明した。
 企業版ふるさと納税事業を取り上げ「3年間54億円とした寄付目標の進ちょく状況と達成計画」を確認。市は「寄付金目安の54億円は市の標準財政規模に準じて算定された寄付の上限額であり、市の実績は2年間で4社から6千万円の寄付」と説明した。砂川氏は「同事業は自主財源比率の低い市において非常に有効であり、専門部署の設置など積極的な取り組みを求めてきた」とし現在の低調な取り組みを指摘し改善を訴えた。

■西里芳明「地域企業が若者の受け皿」 指名競争入札制度で

 市の指名競争入札制度について西里氏は「し尿処理施設のような市の大型工事発注に7社程度しか指名されていないのか。島内には400社以上の事業者がおり共同企業体で行うこともできた」と問い、市は「建築土木工事の発注は単独発注が原則と考え、該当ランク15社から7社を指名した」とし「同施設整備は単体事業者で十分に実施可能であることから共同企業体を外した」と説明した。
 西里氏から「島内に多くの事業者を抱えるなかで市は『単独発注が原則』として今後も同様な指名を続けるのか」と問われて「農業土木等の事業発注においては共同企業体でも可能」だと市が回答した。これに対し西里氏は「市は若者定住を目指しながら彼らの勤務先となる事業所を軽んじてはいけないと肝に銘じてほしい」と要望した。
 城辺野球場の利用状況を確認し、利用頻度の低さから「サッカー場等への再整備検討が必要」と提案。城辺トレーニングセンターの有効活用についても「大規模でなくても緊急物資の備蓄庫やシェルター機能を付属した施設整備」の検討を求めたほか、東京都が実施した公立高校の授業料免除の島内実施も要望した。

関連記事一覧