親子でベチバーの植え付けを行った =下地上地のほ場

赤土流出問題を考える 与那覇湾の現状知る

 市環境衛生局環境保全課は27日、市役所で「与那覇湾の赤土等流出問題を考えよう」と題した講演やワークショップのイベントを開催した。2部構成で南西環境研究所の大城政人研究員、恩納村農業環境コーディネーターの桐野龍さんによる2講演を大人向け、ESSH(東京都)による子どもたちの謎解きゲーム、下地のほ場でグリーンベルト植え付け体験を親子・子ども向けとして行われ、参加者らは与那覇湾の現状と今後の取り組みを知る機会となった。
 大人向けとして行われた講演で大城研究員は「県の赤土等流出問題と与那覇湾の現状」と題し、赤土流出のイメージ、仕組み、悪影響が及ぼす問題などから改善に向けた施策の提言をした。
 桐野さんは恩納村で実際に行われている赤土等流出防止対策の取り組みを動画を交えて紹介。桐野さんによると、最初は赤土等流出に対する村民の理解を得ることが困難であり、説明会などを開いても役場関係者だけが参加していたという。
 そこで現在、同村が地方創生として取り組んでいる「サンゴの村宣言」と結び付けることで赤土等流出の対策と経済効果を生み出したことを説明した。
 対策としては、▽サトウキビのトラッシュ▽ベチバー―の利用を挙げ「畑の畝間にトラッシュを敷くことで雨水を吸収し、また自然のろ過装置となることで海岸や水路などへの赤土流出防止となる。ごみの有効利用が一番効果があった」と話した。
 またベチバー(イネ科の植物)には▽発芽能力がなく雑草化にならない▽トラクターで踏んでも再生する▽病害虫が入りにくい―などの特徴から赤土等流出防止に適切であると説明。十分に育ったベチバーは刈り取りが必要であり、その活用方法としてしめ縄やコースターなどのクラフト商品を開発することで農家の副業として収益が還元されることなどを紹介した。
 親子・子どもの部として、廃棄物などを研究・再利用生産するESSHの謎解きゲームでは、環境破壊問題をモンスターに見立て、謎解きを使って倒すことで得た答えから参加した子どもたちはSDGsに触れ、下地上地のほ場に移動しベチバーによるグリーンベルト植え付け体験を行った。大城研究員によると宮古の畑でベチバーを植えるのは初めてのことだという。
 平良東仲宗根から参加した前盛耀くんは「クイズもすぐ解けたし植える作業も楽しかった」、ともりにいなさんは「植え付けたことで赤土が流れず海がきれいになればいいな」と答えた。
 イベント終了後には与那覇湾に流出した赤土をESSH製品を交えて作られた写真立てとベチバーのコースターがプレゼントされた。

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