宮古方言デジタル保存 国語研と連携協力協定
宮古島市(座喜味一幸市長)と国立国語研究所(前川喜久雄所長)は24日、ユネスコの消滅危機言語に認定されている宮古方言のデジタルアーカイブによる恒久的な保存・公開に向けた連携・協力に関する協定を締結した。市は方言に関する資料等を提供し、国語研はアーカイブ・コンテンツ化などを行っていく。県内では最初の協定締結となる。すでに旧城辺町が1980年代に聞き取り録音した民話などのカセットテープのデジタル化に着手している。
市役所3階会議室で協定締結式が行われ、座喜味市長と前川所長が協定書に署名した。協定は宮古島の言語に関する学術交流、その他の諸活動の発展に向けた連携協力を推進し、地域文化の保全と振興に貢献することを目的として▽宮古島の言語の調査、研究、継承活動▽それに伴う人材、施設、設備の利用│などに関することで連携協力する。市は資料や著作権者に関する情報提供、広報等、国語研が資料内容の確認、アーカイブ化やコンテンツ化などの作業及び事業費を負担。協定期間は同日から2027年3月31日まで。
現在、1987年に城辺町市史編纂委員会が聞き取り記録した民話のカセットテープのデジタル化に取り組んでおり、ノイズを取り除き、方言のカナやアルファベット表記、日本語の字幕を付けた映像を作成する。テープは約150本あり、27年度を目途に公開を予定している。
座喜味市長は「宮古方言は文化や風土、宮古の人の気質を現わすもので先人から引き継いだ財産。だが宮古方言を使う場が少なくなっている。言葉は時代とともに変わるが、できる限り宮古の財産を残し伝えていきたい。今回着手している音声テープ以外にも市には多くの資料があり、国語研の力を借りて市民、世界の人々に発信していきたい」とあいさつ。
前川所長は「ユネスコの消滅危機言語認定を機に琉球諸語、特に先島諸島の言語は近年、若手を中心に多くの研究者が注目するようになった。デジタルアーカイブ化によって一部ではあるが、宮古語の研究資料に誰でもアクセスできるようになり、先島諸島諸語の研究が一層活発化することが期待できる」と述べた。