藤木参院議員と意見交換を行う肉用牛生産農家 =JAおきなわ宮古地区本部大ホール

肉用牛、複数輸出先の開拓必要 経営危機突破向け意見交換

 JA沖縄中央会などで構成される沖縄県肉用牛経営危機対策本部は26日、 同農協宮古地区本部で前農林水産大臣政務官の藤木眞也参院議員と肉用牛生産農家との意見交換会を行った。 現在の子牛価格下落は、 輸出増加を見込んで増頭したもののコロナ禍でとん挫し、 国内需要も回復せず在庫が滞留していることが原因とされ、 藤木氏は当面は需要喚起策に取り組み、 大口の輸出先1カ国に依存することなく複数の輸出先を開拓する必要があると主張した。
 現在の牛肉需給は国内生産量の増加が続き、 輸入量は減少しているものの、 推定出回り量も減っているため期末在庫は16万㌧ (前年度比12・6%増) と増加傾向が続いている。 牛枝肉卸売相場 (和牛去勢A4、 東京市場) は前年を下回るキロ当たり2100円程度で推移している。
 藤木氏は子牛価格下落について、 中国への輸出に向けて協議を進め、 あと一歩の所まできていたが2020年に新型コロナ感染症が本格化して立ち消えになったと説明。 「需要量は現在の和牛生産規模の約2倍あり、 増頭に入ったが輸出できず在庫がたまっている状況。 国として輸出を頑張るしかない」 と話した。
 子牛価格を回復させるには牛肉を流通させなければならず、 藤木氏は20年にも実施した需要喚起策の学校給食等への提供などに取り組みたいとして 「牛肉を動かさなければ。 子牛価格の回復には相当時間がかかると思うので、 できるだけ早く牛肉が動くような体制を作りたい」 と述べた。
 出席した農家から中国への輸出再開は可能か質問があり、 藤木氏は 「今の国際情勢では、 当面無理だと思う。 水産物のように輸出を止められることもある。 それよりも堅実な輸出先を広げ、 多くの国に輸出していく必要がある。 100%中国頼みという考えはもうない」 と語った。
 同中央会の嵩原義信代表理事専務は 「二重三重苦といった状況で、 国や県の支援も出ているが現状を維持するのがやっとで先の見えない不安もあると思う」 と述べ、 きょう27日、 糸満市の南部家畜市場で県肉用牛経営危機突破生産者大会を開催すると話した。

関連記事一覧