価格の低下が続く宮古地区の肉用牛セリ市 =19日、JA宮古家畜市場

12.9億円で21%減 23年度上半期宮古地区肉用牛セリ 10年前の価格水準に

 JA宮古地区畜産振興センターによると、宮古地区の2023年度上半期(4~9月)肉用牛セリ販売実績は12億9127万円で前年同期に比べて3億6060万円、21・8%と大幅に減少した。月齢12カ月以内の子牛1頭当たりの平均価格は47万8055円で11万8502円下落。10年前の13年度の価格水準まで低下した。理由として全国的な子牛増頭に対して牛肉需要が回復せず在庫が滞っていることなどが挙げられる。飼料価格の高騰など生産コストの上昇も長期化しており、農家は厳しい経営が続いている。
 販売額をセリ市別にみると宮古が9億7044万円で3億605万円減少、多良間が3億2083万円で5450万円減少した。子牛の販売頭数は宮古が1903頭で80頭減少、多良間が657頭で21頭増加している。
 子牛価格の内訳は去勢が52万6032円(宮古53万2741円、多良間50万7264円)で12万685円下落、牝が40万3578円(宮古40万4647円、多良間40万306円)で11万4597円下落。平均キロ単価は宮古が1731円、多良間が1811円。ちなみに成牛を合わせた平均価格は43万5067円、13年度通年では43万6025円。価格の高かった21年度上半期に比べると21万2713円下落した。
 宮古地区の子牛セリ価格は前年度後半から50~60万円台で推移したが、今年5月に46万4307円と50万円台を割り込み、6月は持ち直したものの、7月46万4592円、8月は去勢も50万円台を下回って46万2033円、9月は42万8006円と下落が続いている。
 全国的に子牛の生産頭数は増加傾向にあるが、飲食店等での牛肉需要は回復せず在庫の動きが鈍い状況にあり、飼料価格の高騰も続いているため価格が上がる要素が見当たらず、先行きは不透明だという。
 同センターでは「この価格では農家の経営が成り立たなくなる。経営努力だけでは難しい状況」と話す。価格が基準を下回って低下した際に交付される国の補給金制度は対象が九州・沖縄ブロックだが「九州と沖縄では価格差があり、沖縄単独にできないか」と地域の実情を踏まえた要件の見直しが必要だと述べた。

関連記事一覧