沖縄予算9年ぶり増額も 3年連続で3千億円下回る
【那覇支局】内閣府は31日、2024年度の沖縄関係予算として、2920億円の概算要求と金額を定めない事項要求を財務省に求めたと発表した。23年度概算要求と比較して4%(122億円)増加した。23年度当初予算比では9%(241億円)増加した。一方で、県が求める3000億円を下回るのは3年連続。使途の自由度が高い沖縄振興一括交付金は前年度比26億円増の785億円を要求。概算要求での増額要求は9年ぶりとなる。また、ガソリンなどの揮発油税の軽減措置などの税制改正の3年間延長も要望した。
一括交付金の内訳は観光振興や人材育成のソフト交付金は23年度当初予算比14億円増の404億円、社会資本や施設整備のハード交付金は同13億円増の381億円。
国が市町村に直接交付する沖縄振興特定事業推進費は同額の85億円を求めた。前年度同様、高い水準で政府は減額による市町村の不満を和らげるとともに県の裁量を狭める狙いがあるとみられる。
条件不利性の克服や持続可能性の維持向上に向けた事業支援などの離島活性化推進事業は同5億円増の30億円、小規模離島を結ぶ海底送電ケーブルの整備事業支援の小規模離島生活基盤整備推進事業には同額の7億円を盛り込んだ。
24年度中の事業完了のために、返還済みの米軍西普天間住宅地区(宜野湾市)の跡地への琉球大学医学部・琉大病院の移設事業には同110億円増の253億円を求めた。
新規では観光業界の人手不足に対応する事業者の取り組み支援に10億円、観光地の整備に2億円を要求する。
税制改正では、ガソリンなどの揮発油税の減税、免税店の面積要件の緩和、沖縄電力への免税措置など4項目の3年間延長を要望した。
岡田直樹沖縄担当相は同日、「沖縄の持つ優位性と潜在力を活かした『強い沖縄経済』の実現に向け、24年度沖縄振興予算を最大限に活用できるよう、財政当局との折衝などにしっかりと取り組んでいく」とコメントを発表した。
玉城デニー知事も同日、「一定の配慮をいただいた」と謝意を述べるも「総額3000億円台に届かなかったことに加え、沖縄振興一括交付金がこれまで求めてきた所要額と大きくかけ離れ、今般の資材などの高騰に充足することも難しいと考えており、大変残念である」とコメントした。その上で「県として、内閣府をはじめ関係機関との連携を密にし、事項要求を含む所要額が予算措置され、沖縄振興一括交付金についても概算要求額以上の額が確保されるとともに、税制改正要望の実現が図られるよう取り組む」とコメントした。