下地島空港周辺用地 明け渡し1年延期 事業者との合意遅れ

 下地島空港周辺用地の利活用に係わる県土木建築部空港課の説明会が24日夜、伊良部公民館で行われた。県は観光リゾートゾーンで利活用候補事業者と基本合意に達してないことから、2024年3月末だった土地の明け渡しを25年3月末に延期する考えを示した。無償耕作地の返還に関する方針は変えていない。下地島での耕作継続を望む農家からは観光リゾートゾーンを縮小して賃貸農用地を設定するなど計画見直しを求める意見があった。
 県は下地島空港周辺の県有地で耕作する農家に対し、1971年に当時の琉球政府が使用するまで耕作を認める際に「耕作中及び明け渡し時の各補償を行わない」という下地島地主会との確認書に基づき、また2022年度には利活用事業の条件協議が始まったことから、県有地を明け渡すよう求めている。
 下地島空港周辺用地の利活用事業では観光リゾートゾーン279㌶、農業的利用ゾーン85㌶が設定されている。出席者から農家の耕作継続の要望や市議会の明け渡しの再考を求める意見書などに対する考えを問われ、県は「利活用事業を進めていく。そのため県が利用する際は無償で耕作している土地は返還してもらいたい」と回答した。
 観光リゾートゾーン内への賃貸農用地設定に関して「少ない面積でもいいから使わせてもらえないか」「土地を失うことは農家にとって死活問題。279㌶の中に農業ゾーンも設けて農家の生活基盤が成り立つようにしてほしい」との提案に、県は「賃貸に関してこの場では回答できない」「持ち帰って意見として議論の材料にしたい」と答えた。
 明け渡し期限の延期について「今後、事業者との協議が延びた場合は期限も延びるのか。協議の進ちょくは」との質問に対し、県は「延びる可能性はあるが25年3月末には方向性を判断したい。この事業ではいろいろと課題が出てきており、対応できるのかも含めて協議している」と述べた。
 説明会後、「下地島での耕作の継続を要求する農家の会」の山里英也会長は、農業的利用ゾーンが少ないとして「観光リゾートゾーンを認めないというわけではない。観光振興をしながら地域の農業も残してほしい」と農用地の設定を求めた。同会は今年7月に会員52人で発足したが、現在は72人に増えている。

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