相続登記義務化で研修 市は来年度施行を周知
宮古・八重山地区の2023年度行政相談委員地区別会議が23、24の両日、宮古島市役所で開催された。本来は1年ごとの持ち回りだが、コロナ禍のため市で開かれるのは4年ぶり。2日目の24日は、24年度から施行される相続登記申請の義務化について研修を行った。国土の24%にもおよぶ所有者不明土地の解消に向けた取り組み。宮古島市は今年度、制度変更を周知する目的で、未登記不動産の法定相続人全員に納税通知書を送付した。
行政相談委員は総務大臣から委嘱された民間のボランティア。市では現在、5人の相談員が活動している。会議では10月に実施される行政相談週間に向けた取り組みを確認したほか、那覇地方法務局宮古島支局の本村賢一支局長を招き、相続制度変更について自主研修を行った。
国土交通省が20年に行った調査によると、国土の24%の所有者が不明となっている。うち63%が、相続登記の未了によるもの。人口減少や高齢化の進展などにより、地方を中心に土地の所有意識が希薄化。義務ではないこともあり、売却が困難な場合などに相続登記申請がされない例が多かったという。
公共事業や災害からの復旧、民間取引などの土地利用を阻害する要因となっていることもあり、24年4月1日から義務化を決定。不動産を取得した相続人は、所有権取得を知った日から3年以内に相続申請をしなければならない。施行日以前に知っていた場合は、施行日から3年以内が期限。正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料が課されることもある。
研修会では相続土地国庫帰属制度や相続放棄、寄付や売買など、相続時に土地を手放す方法として考えられる各種手続きの比較も行った。国庫帰属は土地の相続を負担と感じる人の増加に対応するため、ことしから始まった制度。一定の要件を満たす土地について、負担金を支払うことで手放すことができる。
法務省は相続人間で必要な遺産分割を行い、義務化の前から手続きを進めるよう呼びかけている。また市税務課は周知に向けて関係者に通知を送付した。
23日の会議では座喜味一幸市長が激励のあいさつを行ったほか、高齢者を支える地域包括支援センターについても学んだ。