市の財務状況「健全」 判断指標すべて基準値内
宮古島市はこのほど、沖縄総合事務局が行った市の財務状況ヒアリングの結果を発表。それによると、財務状況を判断する4指標すべてが基準値以内に収まっており、「留意すべき状況にない」と判定されていたことが4日までに分かった。一方、現在は「健全」な状況にある指標は、2025年度には一部が悪化するとの見通し。総合事務局は、市町村合併により類似公共施設が多く、維持管理費が財政を圧迫しているという課題を指摘している。
財務指標は4種類。うち一つの「債務償還可能年数」は、市の実質的な債務が、償還の原資となる行政経常収支の何年分あるかを示したもの。年数が短いほど、債務の償還能力が高いと言えるとされる。
市の実質債務は21年度、277億5900万円で、行政経常収支は47億5100万円。償還可能年数は5・8年となっている。事務局の判断基準は15年で、市は約3分の1の値。また類似団体と比較可能な20年度の償還可能年数は7年で、団体平均の8・6年を下回っている。20年度の全国平均は6・7年で、県平均は6・8年。
市の財務状況は、その他の3指標についても判断基準の範囲内に収まっている。結果、債務が多すぎたり、返済のための積立金や収支が少なすぎたりといった状況に、一つも当てはまっていないと判断された。
市財政課の国仲英樹課長は財政運営の方針について、「宮古島市の独自財源だけでは、何十億もかかるような大きな事業はできない。各担当課には、無責任な予算要求はせず、関係省庁と調整して補助金を確保して事業を進めるように求めている」と説明。
また、「債務というと悪いイメージだけに捉えられがち。長期間使用する公共建築を建てる際の起債には、長年かけて返済することで、広い世代で平等に負担するという目的もある」と市民に理解を求めた。
現在は健全な市の財務状況だが、総合事務局によると、25年度には指標の一つの「行政経常収支率」が7・5%に低下し、診断基準の10%を下回る見通し。事務局は市が5市町村の合併によって発足したため、類似施設が多いという課題を指摘。統廃合や維持管理費抑制に取り組むことで、健全な財政運営と収支改善に取り組むことを求めている。