春の叙勲 宮古から5人
政府は29日付で2023年春の叙勲受章者を発表した。宮古関係では元県議会議員の奥平一夫さんと前宮古島商工会議所会頭の下地義治さんが旭日小綬章、元学校長の渡久山春英さんが瑞宝双光章、新建工事部次長の友利和義さん(八重瀬町在住、城辺友利出身)が瑞宝単光章、元学校長の前泊豊光さん(西原町在住、平良西原出身)が瑞宝小綬章をそれぞれ受章する。
奥平一夫さん 旭日小綬章地方自治功労
市民の応援に感謝
叙勲の知らせを受けた感想を「大変なものをもらった。なぜ受章できたのか」と話す奥平さん。「これまで自分を応援してくれた市民の後押しがあったから議員を務められた。市民の皆さんにお礼を言いたい」と長年の支持に感謝した。
市議に出馬したきっかけは旧平良市時代の白川田水源地でのゴルフ場建設計画。反対運動が大きな世論となり計画は断念されたが「市議を目指していた訳ではないが、行政を監視すべき市議も必要との声から挑戦した」と議員生活の始まりを振り返った。
県議時代には離島振興に力を入れたが、特に老朽化した旧県立宮古病院の建て替えは徹底して行政に働きかけ、任期中に実現したことが印象に残っている。
「いつの時代でも子どもたちの未来は輝いていなければならない」を信条に議員活動に取り組んできた。「子どもの未来は大人の責任として平和で明るくあるべきだ」と語った。
おくひら・かずお 1949年7月20日生まれ。平良東仲宗根出身。沖縄大学卒。93年から旧平良市議に3期連続当選、2004年から県議に3期連続当選。
下地義治さん 旭日小綬章産業振興功労
職員、会員、会社が支援
「光栄に思い、恐縮している」と叙勲受章の感想を話す下地さん。昨年11月には4期務めた宮古島商工会議所会頭を引退。「会議所職員、会員、会社の支援が自分を押し上げ、12年間やってきた。行政とも連携して宮古の経済発展のため頑張ってきた」と振り返った。
任期中は財務基盤の改善、コロナ禍では市の委託を受けて持続加給付金の申請支援サポートセンターを開設するなど対策に取り組んだ。関係機関と島のPRに努めたが「市町村合併が良かった。宮古島の『宮古島市』で名前が売れたと思う。合併して島が一つになったことが原動力になった」と話した。
商工会議所の役割について「会員が勉強しながら会社を良い方向に持っていくことが会議所の務め。所得を上げるには企業の発展が一番であり、行政と連携しながらその手助けをしていくこと」と語った。
しもじ・よしはる 1948年6月25日生まれ。平良下里出身。東京電機大学卒。73年共和産業入社、95年同社社長、現在相談役。2000年宮古島商工会議所副会頭、10年同会議所会頭、現在顧問。
渡久山春英さん 瑞宝双光章教育功労
子どもからの贈り物
「叙勲は高嶺の花、私とは縁のないものと思っていたのでびっくりした」と受章を知らされたときの驚きを話す渡久山さん。37年間の教職生活の日々を思い出し「叙勲は子どもたちからのプレゼントとして謹んで受けたい」とうれしそうに笑った。
離島やへき地での勤務が21年間と長く、三線クラブを結成して地域の文化祭などで発表し、愛鳥クラブではサシバの観察や保護を生徒に教えた。退職後は久松小近くの交差点で長年交通安全指導を行い、全日本交通安全協会から緑十字銅章を受賞。故郷多良間の方言辞典の発刊にも尽力した。
叙勲を受章できたことに「家族や職員室をともにした先生たち、PTAの支援、地域のみなさんに心より感謝したい」と述べ、子どもたちには「文明の波に押し流されず、自分の希望する信念をもって頑張ってほしい」と言葉を贈った。
とくやま・しゅんえい 1936年10月18日生まれ。多良間村仲筋出身。名城大学卒、60年水納中学校採用。多良間、伊良部、西辺、平良、久部良などの中学校に勤務。97年多良間小学校長を定年退職。
友利和義さん 瑞宝単光章専門工事業務功労
仕事の仲間に感謝
「周りに受章した人がいないので、まったく実感がわかない」と少し戸惑った様子の友利さん。受章は「仕事は一人では何もできない。一緒に協力して仕事をしてくれる人たちに感謝したい」と職場の仲間たちのお陰と笑顔を見せた。
重機の仕事をやってみたくて高校を卒業後、東京の建設会社に入社し、十年ほど後には沖縄へ戻ってさまざまな土木建築工事に携わってきた。特に国関係の事業が多かった。現在は職長として「絶対に事故を起こさないことが当たり前」と現場を監督しており、「作業手順を前もって決めて説明し、理解させることを心掛けている。分からなければ互いに教え合い、協力しながら『後戻り』がないようにする」と安全第一とやり直しのない仕事を行ってきた。
「ずっと現場でやってきた」という友利さん。「今まで携わってきた現場で事故はゼロ。工期も遅れないように間に合わせて来た」と胸を張った。
ともり・かずよし 1962年1月16日生まれ。城辺友利出身。宮古水産高校卒。世紀東急工業入社。2009年新建入社、現在同社工事部次長。八重瀬町在住。
前泊豊光さん 瑞宝小綬章教育功労
皆さんの協力で受章できた
「たくさんの人に支えられ、皆さんの協力があったから色々な仕事をできた。自分一人の力で受章できたわけではない」と話すのは、教育功労で瑞宝小綬章を受ける前泊豊光さん。38年間の教員生活を振り返り、「生徒たちには世の中の矛盾点から目を逸らすなと教え、自分の周りに起こる色々なことに対し、向かって行きなさい」と伝えて来たと話した。
教員生活では、ホームルームや生徒会活動などの特別活動に力を入れたと振り返る。「生徒の理解はもちろんだが、教師たちの理解も必要。活動を通して絆を深めることに力を尽くした」と話した。
前泊さんは「巡り合わせによって人は変わっていく。常に他者と関わっていくことで人は成長できると思うので、若い人たちにはたくさんの友達をつくってほしい」と宮古に住む子どもたちにエールを送った。
まえどまり・とよみつ1944年6月生まれ。平良西原出身。琉球大文理学部卒。67年知念高校で教諭生活を始め、99年真和志高、2001年西原高の校長を務めるなど38年間の教員生活を過ごす。