城辺に児童生徒育成基金 上田さん3千万円寄付で
宮古島市市議会(上地廣敏議長)の3月定例会は3日、総務財政・文教社会・経済工務の3常任委員会を開いた。このうち文教社会委(上里樹委員長)では教育部が城辺地区に児童生徒人材育成基金を設置する条例について説明。埼玉県で不動産業を営む城辺出身の上田福三さんが、城辺地区の子どもたちのために使ってほしいと市教育委員会に寄付した3000万円を活用するもの。同委員会は付託議案16件を全て全会一致で可決した。
上田さんは寄付に当たり、寄付金を基金に積み立て城辺地区の児童生徒育成に使用するとの覚書を市教委と交わしたという。使用目的を宮古島の▽文化・歴史▽気候・風土・風習▽植物・生物・農業―の学習や、新潟県上越市板倉区との交流による宮古島再発見などとしている。また、記念碑建立や記念誌作成、箱物整備のために使用することは厳しく禁じられている。
板倉区との交流は、同区出身の中村十作が明治時代に、「人頭税」廃止のために尽力したことを念頭に置いたもの。同区は中村十作記念館を設置し、人頭税廃止運動を語り継いでいる。国会請願には農民代表として、城辺出身の西里蒲と平良真牛が同行した。
久貝美奈子氏が「寄付者の思いは素晴らしいが、一部の地区に限定した人財育成は法令上問題ないのか」とただした。また、今後他の地区で同様の寄付があった場合の対応を訪ねた。
当局は地方自治法に、条例を制定し特定の目的のために基金を設けることができると定められていることを紹介。「問題ないと考えているが、県に照会をかけているところ」と説明した。また、他地区で同じような寄付があった場合には、原則として別の条例を設けて対応していくと示した。
文教社会委はほかに、国民健康保険事業特別会計などの予算議案6件、一般廃棄物処理手数料改定などの条例議案7件、指定管理者指定の議決議案3件を審議。討論で意見はなく、すべて全会一致で可決した。
また、福祉施設や教育施設で遺伝子が編集されたトマトの種苗を受け取らず、学校給食で使用しないよう求める陳情1件も審議。複数の委員から、現時点では影響が不透明でさまざまな情報を集める必要があるとの意見が出たため、継続審議と決定した。