30日まで開催される宮古馬パネル展
=市役所1階ロビー
宮古馬の歴史と未来紹介 市教委がパネル展開催
宮古島市教育委員会(大城裕子教育長)は16日から、市役所1階ロビーで、宮古馬の過去・現在・未来をテーマにパネル展を開始した。30日まで。1991年1月16日に宮古馬が県の天然記念物に指定されたことを記念したもので、島とともに生きてきた宮古馬のことを知り、より身近に感じてもらうことを目的としている。現在宮古馬は48頭が生息しており、市教委では遺伝子多様性を確保するための増頭と、観光や地域振興への利活用促進を目指している。
宮古馬は絶滅が危ぶまれている「日本在来馬」8種の一つ。県の生きた文化財としての保存を目的として91年に天然記念物に指定された。日本では明治時代以降、軍馬増強のために体格の大きな洋種馬との交配が大規模に進んだが、北海道や宮古島などごく一部に純血種に近い8品種が残されたとされる。
宮古馬は性格が温厚で粗食に耐えることから、古くから農耕用などで広く活躍してきた。1935年には小型でおとなしい点が乗馬の練習に適しているとして、当時皇太子だった現在の上皇陛下の乗馬用として宮内庁に買い上げられたこともあるという。
車社会の進展や農業機械の導入により頭数が激減。一時は絶滅の危機に瀕したこともあったが、宮古馬保存会の発足や民間の飼養者などの活動により、徐々に頭数が増えてきている。市教委は2020年度から城辺長間に放牧場の整備を進め、現在は雌雄合わせて13頭が暮らしている。
一方で農耕馬としての役割が消失したため、活躍する場がなくなっている課題もある。コロナ禍以前には観光用の馬車として使われる例もあったが、そのような姿も見られなくなった。
市教委も利活用に向けた仕組みを模索しているが、まずは市民に宮古馬のことをよく知ってもらおうと今回のパネル展を企画したという。