タクシー料金値上げ申請について説明するまるちくの下地代表 =市内の事務所

タクシー運賃値上げ申請 乗務員の待遇改善図る

初乗り470円→550円、加算60円→70円

 平良久貝でタクシー事業を営むまるちく(下地隆之代表)は26日、市内の事務所で会見を開き、沖縄総合事務局に運賃値上げの申請を行ったと発表した。2次交通不足が指摘される宮古島市で乗務員を確保するため、待遇改善を図ることなどが目的。県内離島地域で稼働するタクシー台数の7割を超える賛同が集まり次第審査が開始される。同地域で消費税増税による影響を除いた実質的な運賃改定姿勢は、2015年以来7年ぶり。
 申請内容は初乗り料金を普通車470円(1・167㌔)から550円(1・139)に、加算は60円(336㍍)から70円(334㍍)にそれぞれ増額するもの。増収率17・91%。離島においても渋滞が増加しているとして、時速10㌔以下の場合に2分で70円を加算する時間距離併用運賃の導入も申請した。買い物などで一時的に下車している時間も、運賃の加算対象になる。
 下地代表は「コロナ禍で離職が進みタクシーが不足し、高齢者などのいわゆる交通弱者や観光客に影響が出ている。乗務員の待遇を改善することで人員確保を図り、公共交通機関としての使命を果たしたい」と説明。ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて、燃料費や修繕費などがのきなみ高騰していることも値上げ申請の一因という。
 申請は14日付。3カ月が受付期間で、県内離島のタクシー事業者43社が保有する全車両506台のうち、7割を超える申請が集まると審査が開始される。26日現在で申請はまるちくの31台分(6・1%)のみだが、下地代表によると複数の事業所が申請の準備を進めているという。
 下地代表は宮古タクシー事業協同組合の代表理事も務めている。同社が申請第1号になったことについて「若い子育て世代や女性に夢を持って入ってきてもらえる魅力ある職場環境を整えたい。コロナの感染リスクを恐れずに残ってくれた乗務員に報いたい気持ちもある。業界全体のために責任を持って声を上げるべきと判断した」と語った。
 審査期間は標準6カ月間で、利害関係人の意見聴取などを行う。正式決定は来年夏以降の見込み。

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