台風時の品薄解消への寄与が期待される物流センター =平良港漲水地区

台風時の品薄解消されず 物流センター運用に課題

 平良港漲水地区で今年度から供用が始まっている「平良港総合物流センター」には、冷凍コンテナ用電源19基などが整備されており、台風時の品薄解消などに貢献することが期待されている。台風11号の影響が長期化したこともあるが、市内の小売店では食品や飲料水の棚が空になるなど依然として状況に変化は見られない。宮古島市建設部の大嶺弘明部長は運用面に課題があるとして「官民が連携して解決に向け協議する必要がある」と述べた。
 同センターは延べ床面積4021平方㍍、縦37㍍、横99㍍、高さ10・5㍍の2階建て。物流機能の円滑化や荒天時のストック(貯蔵)機能の強化を目的に整備された。冷凍・冷蔵食品の輸送などに使用される冷却装置付きのコンテナ用の電源も備えている。
 影響が長期化すると予想された台風11号の接近により、市では8月30日ごろから市民が食品や飲料水を買いだめするため小売店に殺到。暴風圏内に入ったのは4、5の両日だったが、海は荒れて貨物船の欠航が続いた。港湾会社の休業で物流センターの門が閉じていたことも確認されており、冷凍コンテナ用の設備はほとんど活用されなかったと見られる。
 大嶺部長は本紙の取材に「物流センターの供用開始で、品薄解消にもう少し効果があると思っていた」と認め、「運送会社や小売店の間での流通システムを整備する必要がある。官民が連携して課題を整理し、センターの有効活用に向けて協議したい」と述べた。
 港湾会社の関係者は「冷凍コンテナでの保管にも費用がかかる。各小売店が物流センターを構えて独自でストックすることも必要ではないか」と話す。センターには停電時用の発電設備はなく、港湾会社が整備する必要があるという。
 平良港湾事務所の照屋雅彦所長は「宮古は港湾内外に物流センターがまだまだ不足している」との認識を示した。また「南西海運の新造貨物船『よね丸』は本来、那覇―宮古―石垣と運行するが、宮古から那覇に折返すよう変更し、8、9の両日貨物を運んでくれた。市民として配慮に感謝したい」と述べた。
 宮古島地方には台風12号が11日の日曜日から週明けにかけて接近する恐れがあり、再び品薄になることが懸念される。

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