アワードに上原美春さん(西辺中3年) 第1回ひろしま国際平和文化祭
1日に広島市で開幕した第1回ひろしま国際平和文化祭で、西辺中学校3年の上原美春さん(14)が「ひろしまアワード」音楽部門(国内)を受賞した。上原さんは昨年、県平和祈念資料館の「児童・生徒の平和メッセージ」詩部門中学校の部で「みるく世(ゆ)の謳(うた)」が最優秀に選ばれ、6月23日の沖縄全戦没者追悼式で「平和の詩」を朗読したことなどが評価された。
「ひろしまアワード」は、文化芸術を通して平和文化の醸成に貢献した個人・団体などに贈られる賞で、メディア芸術と音楽の両部門で海外、国内の4人が受賞した。同日、広島文化学園HBGホールでのオープニングイベントで授賞式があった。
授賞式で上原さんは、「今朝、母と広島を散歩し、ここが爆心地だったのかと、改めて77年前を考えた。沖縄には『命どぅ宝』という言葉がある。悲しみの過去を記憶として留めておく決意をした広島の勇気とも、通い合う教えだと感じる。戦争の記憶が風化されていく今、地上戦を知る沖縄の人間として命の尊さ、平和であることの意味を訴え続けたい」と語った。
上原さんは昨年の「平和の詩」で、「私たちは忘れないこと、あの日の出来事を伝え続けること」と、平和の大切さを後世に伝えることや、戦争の悲劇を忘れないよう呼び掛けるとともに、「平和な世界は私たちがつくる」と誓った。
ことしの県平和メッセージ詩部門中学校の部で優秀賞を受賞した「Unarmed(非武装)」を宮古島市全戦没者追悼式・平和祈念式典で朗読。昨年の詩について誹謗中傷を受けながらも、「武器を置くことを私の強さと呼びたい」「私たちは強い、だから今日も揺るぎなく平和を願っていよう」と訴えた。
アワード選定では、平和の詩について「上原さんの背後には、平和への願いを次世代につなごうと努める人たちがいるだろう。若い世代による継承のシンボル的な活動」とたたえた。
2日午後、宮古空港で上原さんは「賞はうれしかった。式典で神楽を見たり初めての経験ができ、学ぶことがたくさんあった旅だった」と振り返り、「平和に関する絵や作文、詩を作ってきたが、高校生になっても継続して、また広島に呼んでもらえるよう頑張りたい」と感想を語った。
母の留美子さんは「想像していなかった大規模なイベントで、中学生がこんなに大きな賞をいただけるのかとびっくりした。年齢に関係なく評価してもらい、ありがたい」と述べた。
同文化祭は、芸術を通して「平和の種をまき、次世代を育てる」とのコンセプトで、音楽やアニメーションなど芸術で国内外のプロと若者らが多彩なイベントを通し、文化芸術を理解、活用する力を高め、広島の平和を広めるもの。28日まで広島市内を中心にオープニングイベントをはじめミュージックセッション、アニメーション、広域連携シンボルイベントなどが繰り広げられる。