実弾誤射を起こした宮古島海保所属の巡視船「しもじ」 =資料写真

宮古島海保「着岸中の給弾全面禁止」 巡視船実弾誤射で独自の再発防止策発表

 宮古島海上保安部(福本拓也部長)は29日、同部所属の巡視船「しもじ」が陸地に向けて実弾8発を誤射した問題について、独自の再発防止策と今後の方針に関する記者説明会を開いた。着岸中の船艇が実弾を給弾することを全面的に禁止するほか、同型船の船内マニュアルを統一するという。事件を起こした当事者として、海上保安庁発表の防止策よりも厳重な対応を行う。洋上射撃訓練などは、市や自治会など地元の理解を得てから再開する方針。
 「しもじ」は20日に洋上射撃訓練を予定していたため、19日に乗組員が20㍉機関砲の弾薬箱に実弾を給弾。砲身と連結して発射可能な状態にセットしていた。その後船長が急きょ砲の取り扱い訓練を決定。実弾の状況について船長と船員の意思疎通を欠きながら「から打ち」のつもりで発射ボタンを押したところ、実弾8発が発射されるに至った。
 福本部長によると、宮古において射撃訓練前日に給弾しているのは「しもじ」だけで、ほかの船は射撃訓練当日に行っているという。「しもじ」は現船長が2020年4月に着任して以来、3年連続で前日に給弾していた。
 宮古島海保には「しもじ」と同型の巡視船が9隻配備されているが、船内マニュアルは船ごとに異なっているという。福本部長は地理的条件や気象・海象の違いから、同じ装備でも地域によってマニュアルが異なるのは当然としつつも「宮古島海保内でもマニュアルが統一されておらず、乗組員が異動した際にも混乱をきたしている。統一する必要がある」と話した。
 また「事態を起こした当事者としてより厳しい対策を取る」として、▽所属船艇が着岸中に実弾を給弾することの全面禁止▽取り扱い訓練時に実弾が給弾されていないことを船長自ら目視で確認する―などの独自対策を着実に行うと説明。
 着岸時の給弾や洋上射撃訓練再開は「対策の徹底が確認されてから関係自治会などに説明し、ご理解を得てから行いたい」とした。

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