経済団体と意見交換する玉城デニー知事(右奥) =20日、県庁

県、きょう新たな対処方針 新型コロナ感染拡大受け

 【那覇支局】新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止する新たな対処方針を策定するため、県は19日に医療関係者らと感染症専門家会議(座長・国吉秀樹中部保健所長)、20日に産業界と経済対策関係団体会議を開催し、意見交換した。県は会食時の人数や時間制限などを設ける新たな対処方針案を示したが、医療界からは「対策が不十分」、経済界からは効果を疑問視する声が挙がった。県はこれらの意見を集約し、きょう21日の対策本部会議を開き、新たな対処方針を決定する。
 県が示した新たな対処方針案は▽1000人以上のイベントを開催する場合は、感染防止安全計画を事前に提出▽会食時は4人以下、2時間以内で行う▽子どもは学校や活動が終わったら寄り道せず帰宅▽重症化リスクの高い人は同居家族以外の人と会うのを控え、4回目のワクチン接種を推進する▽日曜、祝日に開所する小児科への協力金制度の創設▽社会福祉施設へ人員を増やし、体制を強化し、巡回でのワクチン接種を進める▽入院待機施設の病床を増やす―の7つを示した。
 医療界では、医療コーディネーターの佐々木秀章医師が県のイベント開催の方針案について「医療は破滅する入り口に来ている。イベントは2週間全面停止するくらいの案を出してほしい」と対策の不十分さを指摘。委員の成田雅医師(県立中部病院)も「感染を広めないためにアルコールを提供しないのも対策の1つだ」として、具体的な行動制限を求める声が相次いだ。
 経済界では、県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「飲食業者は2年半もの間、協力してきたのに、医療界がどれほどの対策を講じてきたか見えてこない」と対処方針案の再考を訴えた。OCVBの下地芳郎会長は「感染源に関する詳細な情報や適切な対策が必要であり、県民に十分に届いていないと感じる」と述べ、その上で空港でのPCR検査の予約なし受け付けやワクチン接種の促進などを要望した。

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