宮古島 国定公園候補に
環境省は14日、八重干瀬を含む宮古島沿岸海域を国定公園候補地に選定したと発表した。宮古島市は今年度から、八重干瀬とその周辺海域の将来的な国定公園化を目指し環境調査などに着手していたが、国から候補地に選ばれたことで実現に向けて大きく弾みがついた形。同省によると、今後自然環境や社会条件などの詳細な調査などを開始し、2030年までの指定を目指すという。市は選定を歓迎し、取り組み推進への市民の理解と協力を求めている。
国は生物多様性国家戦略の一環として、30年までに国土と領海の30%を保護区にする「30by30」という方針を掲げており、5月ごろに宮古諸島周辺海域を国定公園の候補地とすることに関して市に意見照会があったという。
自然公園などに関する委員会を14日開き、宮古諸島など4地域を新たに国立・国定公園候補地とすることを決定した。大規模な指定候補地を有するか▽国民の利用ニーズに応える重要な景観資源▽持続的な保全管理に向けた地域体制の有無―を確認した上で、総合的に判断したという。
梶原健次生涯学習振興課長は「昨年6月に八重干瀬などの国定公園指定について環境省や県に相談した際には、候補地としてテーブルに上がるまで10年はかかると言われていた。今回、国から選ばれたことで実現性が大きく高まったことを歓迎したい」と述べた。
市は八重干瀬周辺の指定を希望していたが環境省は宮古諸島沿岸全域を候補地としており、対象が大きく拡大された。ただし、市は今後国定公園にふさわしい自然環境が維持されているなどの調査や確認が進む中で、指定対象地域が絞られていくと想定している。
地域の経済活動との両立に梶原課長は「国定公園になると漁業ができなくなるのではと心配する声もあるが、漁業に対して規制がかからないよう事前に漁業者の意見を伺う。その他の事業についても、自然環境を保全しながら経済活動が持続できるよう調整されるため、事業者の方は安心してほしい」と説明。
市民に対しては「環境の保全と活用が両立し、知名度も上がるため市にとってのメリットは大きいと考えている。国定公園指定に向けた取り組み推進にどうかご理解とご協力を願いたい」と呼び掛けた。