ほぼ実物大に描かれた特攻艇「震洋」のイメージ画パネル
=市総合博物館
市博物館、平和展始まる
市総合博物館(友利浩幸館長)の平和展「特攻艇と宮古│知られざる特攻作戦」が25日始まった。太平洋戦争中、宮古に配備されていた日本軍の特攻艇部隊の資料や写真、ほぼ実物大のイメージ画パネルなど73点を展示。あまり知られていない特攻艇を通して宮古の戦争について紹介している。来月26日まで(午前9時~午後4時半・入館4時まで、毎週月曜日休館)。
宮古島には海軍の震洋隊、陸軍の海上挺進隊が配備され、平良の狩俣や荷川取、久貝、下地島に特攻艇を隠す秘匿壕があったことを紹介。太平洋戦争末期に特攻作戦に至った経緯、特攻艇の構造や秘匿壕の地図、米軍が撮影した写真、元海上挺進隊隊員が同博物館に寄贈した当時のメモや軍靴、宮古における空襲や艦砲射撃による被害などについても展示している。
イメージ画パネルは横3・6㍍、高さ1・8㍍と横、高さ1・8㍍の2枚。石嶺直次さん、伊良部映里さんが制作した。狩俣の特攻艇秘匿壕に配備された震洋をモデルとし、出撃することなく終戦を迎えて砂浜に残され、壕内から海を望む特攻艇を描いている。
同展示は新型コロナウイルス感染拡大のため延期が続き、2年越しでの開催となった。同博物館学芸係の與那覇史香さんは「特攻艇部隊は極秘部隊なので地元の人にも知られてなく、今の人も分からないと思うので部隊があったことを知ってほしい」と呼び掛け、「宮古から出撃は無かったが、命をかけて出撃しなければならなかった状況。乗っていたのは20歳前後で、なぜ未来のある若者の命を奪う作戦が取られてしまったのか、当時のことを考えてもらいたい」と話した。