破産手続きを開始したコーラルベジタブル社 =下地川満

コーラル社が破産手続き 紫イモ買取は継続

宮古島市議会(上地廣敏議長)3月定例会の一般質問で23日、下地川満で食品加工業を営むコーラルベジタブル社が破産手続きを開始していることが明らかになった。同社は紫イモのペースト販売などを行っているが、沖縄製粉関連会社が市の生産農家からの買取りを続ける方針という。市は同社が管理していた処理加工施設の新たな指定管理者を急ぎ制定する。長崎富夫の質問に対し平良恵栄農林水産部長が答弁した。

長崎富夫議員

 コーラル社は1999年に旧下地町が設立した第3セクターで、市町村合併に伴い宮古島市が引き継いだ。2015年、市の保有する同社の全株式900株を沖縄製粉に無償譲渡し、沖縄製粉が筆頭株主となった。長年の業績不振で、譲渡時には1億円以上の累積赤字となっていた。下地川満の農畜産物処理加工施設の指定管理者に選定されており、24年3月31日までの契約が結ばれていた。
 長崎氏は「市のイモ生産農家はほとんどがコーラル社に出荷している。『沖縄製粉が撤退するという情報があるが詳細が伝わってこない。農家がどうなるのか不安』と相談を受けた」として、撤退の真偽を尋ねた。
 平良部長はコーラル社と沖縄製粉が9日に来庁し、コーラル社の事業を廃止することを報告したと説明。現在下地川満の同社には、破産手続きを開始した旨の貼紙が掲示されている。
 長崎氏は「イモは宮古から島外に生で出荷できない。加工場が無くなると廃業せざるを得ない深刻な問題。市としてどう対応するのか。また、新たな指定管理者が事業を引き継ぐ計画はないのか」とただした。
 平良部長はイモ生産組合からの買い取りは沖縄製粉の関連会社が行っており、コーラル社へは加工を委託していたことを説明。関連会社は今後、生イモを菓子製造会社に納品する予定で、市の生産量を上回る年間150㌧の買取りを計画していると示した。
 イモの集積場所が必要になるため、当面の間は生産農家に同社跡地の市施設を開放する方針という。新たな指定管理者の公募に向けて作業を急いでおり、早ければ6月定例会への提案を目指すとしている。
 コーラル社はアロエベラも扱っていたが、アロエの買い取りは市内の民間業者が引き継いでいるという。

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