県の自衛隊災害派遣要請を受けて宮古入りする陸自隊員ら=宮古空港到着ロビー

陸自看護官が宮古入り 知事が要請

 宮古島市で新型コロナウイルス感染症が急速に拡大を続け、医療提供体制がひっ迫している状況を受け、玉城デニー知事は29日、自衛隊に災害派遣を要請した。同日夕、陸自自衛隊那覇基地の看護官5人を含む隊員15人が宮古空港に到着。31日から市内の高齢者施設で医療業務に当たる。同日は、新型コロナの重症患者2人が陸自の航空機で沖縄本島の病院に搬送された。宮古島市では新たに12人の新型コロナ感染を確認し、3日連続の30人台から減少したものの、確保病床数71床のうち入院が64人となるなど厳しい状況が続いている。医師や看護師の不足に対応し、県対策本部は総勢50人を応援のため派遣しており、今後も増やす方針を示している。

 玉城知事は同日の会見で、宮古島で全国最大規模の感染拡大と高齢者施設でクラスター(感染者集団)が発生している状況を踏まえ、「医療崩壊の危機が差し迫る状況」として災害派遣を要請することを明らかにした。県によると、災害派遣の期間は2月13日までで、陸自に対して医療支援を求めた。29日午後6時過ぎの民間機で宮古入りしたのは、看護官5人と支援業務に当たる隊員ら15人。到着後、災害派遣用の車両に乗り込んだ。陸自宮古島駐屯地によると30日は研修に参加し、31日からクラスターが発生した施設で医療業務を行う。
 陸自機で沖縄本島の病院に搬送されたのは、新型コロナで市内に入院していた重症患者。県保健医療部の糸数公保健衛生統括監は、「宮古病院で対応できない重症患者のため、本島に搬送した」と説明した。
 患者数急増により医療現場でスタッフが不足していることに対応し、県は同日までに本島や八重山の県立病院などから50人の派遣を決定した。内訳は医師3人、県立病院と県看護協会の看護師29人、感染管理認定看護師3人、保健師2人、厚生労働省の3人、事務8人となっている。今後も県医師会からの医師派遣も予定されているという。
 糸数統括監は「緊急時で対応するため、(島外から)応援で医療機能を維持することが必要」と述べるとともに、「感染を抑え込むまでは外出を控え、通常の生活に向けて乗り越えるための時期ととらえてほしい」と市民にさらなる感染防止を呼びかけた。感染状況については「29人で12人だが、ピークを過ぎたかは分からない。ただ、ほとんどが濃厚接触者で感染経路を追うことができている」との認識を示した。

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