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熊本地震で続く「雑魚寝」…2024年総裁選で防災庁設置に異論を唱えていた高市首相

報道によると、熊本地震発生から1週間たっても県内では7500人余りが避難所で厳しい生活を続けており、「雑魚寝で体が痛い」「断水はいつまで続くのか」との声が寄せられているという。

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7月6日、避難所の環境改善を議論するシンポジウムが東京都内で行われ、冒頭であいさつした石破茂前首相は「人間の力をもってして災害を防ぐことはできない。しかし、その後に起こることは、すべては人災である。体育館で被災者が雑魚寝をしているのが本当に先進国と言えるのか」と述べた。地震発生の20日以上前のことだが、前首相に先見の明があったと言える。

その石破氏が首相就任前から提唱して設置にこぎ着けたのが「防災庁」だ。今回の熊本地震には間に合わなかったが、防災庁の役割や目指すものは何か。

防災庁の設置により、日本の防災体制は「他省庁からの兼務・出向者中心の組織」から「専任の専門家集団による強力な司令塔」へと大きく転換する。従来の「内閣府防災担当」と比較して、具体的には以下3つの側面で大きな変化が期待できる。

防災庁の設置によって期待できる3つの変化

①初動対応と司令塔機能の強化

防衛省、警察庁、消防庁、国土交通省など多岐にわたる省庁の連携・調整権限が一元化され、大規模災害時の初動指令がよりスムーズになる。数年で交代する出向官僚中心の体制から、防災や危機管理の知見・ノウハウを蓄積した専任スタッフが組織化される。

②避難所環境の改善と「災害関連死」の防止

トイレ、キッチン、温かい食事、ベッドの確保やプライバシー配慮など、国際基準を意識した避難所環境を改善する。罹災(りさい)証明書の発行手順のデジタル化や住まいの確保、保健・福祉支援の継続で避難生活中の体調悪化による「災害関連死」を削減する。

③平時からの予防・広域連携・防災DXの推進

財政・人材不足の地方自治体に対し、平時から広域避難計画の作成支援や物資備蓄の指導を行う。物資を要請前に届ける「PUSH型支援」の精度向上や、ドローン・AI・マイナポータルなどを活用した被害状況のリアルタイム把握・被災者照会システム等の整備。

このような防災庁の設置に対し、2024年末当時、経済安全保障担当相だった高市早苗首相は雑誌「月刊Hanada」(飛鳥新社)で、「イメージがわかない。防災庁をつくるよりも各省庁の予算を増やす方が目的に資する」と異論を唱えていた。熊本地震発生後、その事実がSNSで明るみに出て、批判を浴びた。

首相就任後は「既に動きだしているもの。否定するつもりはない」との姿勢に転じ、2026年度中の防災庁設置方針を堅持することを明確にして予算編成も行った。ただ、今年度の防災関連予算は、内閣府防災部門全体で約202億円。昨年度から約1.4倍に増額されているとはいえ、震災大国の予算としては、決して大きなものとは言えない。

高市首相と茂木敏充外務大臣、小林鷹之政調会長らは、防災庁の思想(ソフト重視)よりも「国土強じん化」の思想を持つ。すなわち、堤防やダムの整備、道路の強化、建物の耐震化、インフラの老朽化対策など、どちらかと言えばハード面の対策を重視したいタイプだ。しかし、今回の熊本地震で実際に何が大切なのか、結果が見えたのではないか。

文/横山渉 内外タイムス

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