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政治家・東国原英夫インタビュー(後編)事実無根の「淫行」「逮捕」報道に翻弄された過去 週刊文春とも全面対決した“報道被害”を語る SNS時代に問うメディアのあり方

ビートたけしの“一番弟子”としてお笑いの世界を走り続けた東国原英夫は、ある報道をきっかけに人生の転機を迎える。「淫行」「逮捕」と報じられた一連の騒動。実際には逮捕されていなかったにもかかわらず、メディアスクラムの中で広がった情報に翻弄(ほんろう)された。

その後、政治家へ転身し、宮崎県知事に就任。さらに週刊文春との裁判も経験した東国原氏は、自身の体験を踏まえ、報道被害や「書いたもん勝ち」ともいえるメディアの構造、そしてSNS時代の情報発信について語る。

今回は、そんな東国原氏の言葉をできるだけ飾らず、“そのまんま”掲載する。報道に傷つけられた過去、政治家として見てきたメディア、そして「真相究明のメディア」への思い――。東国原英夫が語った、報道とメディアの現在地に迫る。

【あの時、何が】弘中惇一郎弁護士(第1回)日産自動車元会長カルロス・ゴーン氏が逃亡していなければ勝っていた、人質司法の問題点と有罪率99.9%の絶望とは

任意の事情聴取が「逮捕」に…メディアスクラムで広がった「淫行」報道

――それだけ充実したお笑い生活があった中でまた今度、政治家を目指すというタイミングがあった。2000年の大学進学のきっかけというのは、

東国原 1998年の風俗事件ですね。“淫行騒動”と言われたあの事件で自主謹慎をさせてもらいました。罪になることはなかったんですけれども、自主謹慎をさせてもらう中でこれからの人生は、社会貢献といいますか、ふるさと貢献、地域貢献――。何か社会に貢献できるようなことをしたいなと。でもあの時は、「淫行」というレッテル貼りをされているので、もうお笑いの世界は無理だと。イメージが悪くなったから。

だから、これからは社会貢献するということで、どういう立場で社会貢献するか?小学校6年の時に政治家とお笑い芸人を考えていて、今まではお笑い芸人でやってきた。「これからは政治家として社会貢献できないかな」と思って、一念発起して学び直しのためにリカレント教育で大学に行きました。

――まさに今回のテーマになるところです。あの件は報道のされ方がかなり悪質だったのではないでしょうか?

東国原 内外タイムスにもお世話になったと思いますよ(笑)。非常にお世話になった。あの頃はワイドショーとか週刊誌、今みたいにSNSがない頃なんですね。ワイドショーと週刊誌とスポーツ新聞による“メディアスクラム(集団的過熱取材)”です。

僕は、かとうかず子と結婚してるわけですよ。お笑い芸人があの有名トップ女優と結婚して、子どもも2人いる。世田谷の豪邸に住んでいる。この生活が疎ましかったんでしょうね。なんかジェラシーだったのかなと。だから僕も品行方正にしておけば良かったのかもしれないけど、“好事魔多し”ということかと。

あの時に後輩の芸人から「渋谷に新しいイメクラができたので、先輩行きませんか?」と。つまり「おごってください」ってことだよね。ああそうかと、行こうじゃないかと。イメクラぐらいだったらいいかなと思ったんです。イメージクラブです。そこに行ったら、僕がサービスを受けた方が17歳だったかな、未成年だった。僕は知らなかった。店のパンフレットには“20歳”“21歳”とか書いてあったので、それを信じて、サービスを受けたんです。

その店を使ったということで、「青少年育成条例と児童福祉法違反で摘発するために協力してください」と言われて警察に協力したんです。「この方にサービスを受けました」。つまり、「未成年をこの店で扱ってましたよ」という証明をした。それで、その店が摘発されたと同時にメディアから、“東国原逮捕”って出たんです。

逮捕とかされてないんですよ。任意の事情聴取です。警察から言われたのは「この店を摘発するためにご協力をお願いできませんか?」と。僕は国民の義務だと思って、「分かりました」と協力をした。それがメディアの知るところになって、「東国原、淫行。逮捕」って出たんです。

誤報に師匠もまさかの悪ノリ 「あいつは死刑だな」で翌日の見出しに

東国原 今考えると、これはもう名誉毀損中の名誉毀損なんですよね。誤報道ですわ。当時はそんな緩さだった。しかも、メディアは最初に僕のところに来ないんですよ。師匠のところに行くんですよ。師匠が仕事中のスタジオに。世田谷のTMC(スタジオ)です。100人くらいの報道陣がだーっと押しかけて、「たけしさんの一番弟子のそのまんま東さんが逮捕されたらしいですよ」って言ったらしいです。

そしたら師匠はそれに乗っかって「あー、あいつは死刑だな」って言ったらしいです(笑)。そしたら翌日の新聞に「そのまんま東、死刑」って見出しが(笑)。もうムチャクチャですわ。僕も半分笑っちゃってたんですけどね。これはひどいな、みたいな感じで。師匠も悪ノリでギャグで言ったわけですから。

でも師匠も知らなかったらしいですよ。渋谷の風俗店について事情聴取を受けたということは、言ってませんでしたから。報道が師匠のところに来て、「一番弟子のそのまんま東さんが逮捕されました」というのは、ドッキリか何かかと思ったらしいです。だから、それに乗らなきゃいけないと思って「死刑だな、あいつは」って言ったらしいです。それが見出しになったんですね。

そんなこんなのがあって「東国原は淫行」というイメージをつけられて、今でもSNSでちょこちょこ言われますよ。売春だとか淫行だとか、ちょこちょこ言われます。そういうことは一切ございません。

その頃の新聞の記事というのは、全部切り抜いて取っておいてます。あれは報道のあり方としては、いかがなもんかなという感じでした。もう40年以上も前の話なので、しょうがないか…と泣き寝入りみたいな。それよりも前へ進もうということで、一念発起して政治家を目指していったのが、あの頃の真相です。

――今だから笑い話にできるようになってますけど…。

東国原 そうです。下を向いててもしょうがないですからね。報道されたものに対して法的な措置も考えたんですけど、あまりにも膨大で。いろんな雑誌とか週刊誌、ワイドショーなんかも。いまだに忘れませんけど、あるコメンテーターが「風俗店に行って未成年ということを知らなかったはずないじゃないですか」とコメントしました。そういうことも全部頭の中に入っています。

彼女たちも立場があって過激なことを言わなきゃいけないから、そういう発言だったんだろうなと。でも、言われる側にとっては家族が、あるいはスタッフや仲間が傷つくわけですよ。そういうことはありました。「報道被害者」とあの頃言われましたけど、報道被害であったことは間違いなかったな。

でも、そこに固執するんじゃなくて、次のステップを考えようというのが、僕の考え方でした。

――実際に次のステップに進まれて、ふるさとの県知事になりました。印象的だったのが「宮崎をどげんかせんといかん!」というワードです。あれは自然に出た言葉なのか、それとも戦略的だったのか、どちらですか?

東国原 自然ですね。マニフェストに載せているんです。文章化したことは間違いないんですが、自然でした。マニフェストで“私の思い”というのを最初に書くんですよ。その後に政策が書いてあるんですが、私の主張、思い、理念とか理想だとか、そこに「どげんかせんといかん!」というのが、ドンと打ってある。

あれはスタッフと話し合いながら、「宮崎を、この先どうしたいんですか?」と聞かれて、その時に出た言葉が「どげんかせんといかん!」だった。それいいじゃないですか、それを冒頭に置きましょうとなる。それで選挙運動が始まって、演説でも事あるごとに「どげんかせんといかん!」と絶叫してたんですね。それがメディアに取り上げられて、だんだん広がっていって、当選した。2007年の流行語大賞の年間大賞に選んでいただくということになりました。

――当時、そこまで流行ると思っていましたか?

東国原 いいえ、全然。ましてや方言だし。宮崎地方しかわからないと思ってましたし。これは薩摩弁なんですけど、宮崎の中でも「どげんかせんといかん」を「どうにかしないといけない」という使い方をするのは一地域だけなんです。宮崎県全体では使われていない。

それが流行語大賞の年間大賞になるとは本当に思ってもいませんでした。

事実無根の記事をめぐり週刊文春と対決 完全勝訴も「書いたもん勝ち」は変わらない

――宮崎県知事就任後についても聞かせてください。政治家の方たちというのはどうしても批判される対象になります。そういった批判とどのように向き合ってきましたか?

東国原 「東国原が、宮崎県知事選に出る」となったときは、8~9割は批判ですからね。「何を考えているんだ」「ふざけているのか」「売名行為か」「ドッキリカメラか」と。あるいは「芸人の悪ノリか」といった批判はありました。

「お前“フライデー事件”も行っただろ、暴力事件を起こしているじゃないか」「渋谷のイメクラで、淫行事件も起こしてるだろ」「そんな奴が県知事になれるわけがない。何を考えているんだ」というご批判。

当時はSNSがなかったので、あってもブログぐらいかな。ですから手紙とか電話の批判ですよね。あの頃にSNSがあったら、とんでもない炎上してるんじゃないかなと思います(笑)。

――政治家になってからは、週刊文春と戦った事案もありました。

東国原 その後ですね。2013年だったかな。(県知事の)任期が2011年1月までだったんですよ。2007年1月から2011年1月まで一期4年を務めさせてもらった。口蹄疫(※)等々の責任を取るという形で一期で退任をして、東京都知事選に2011年の3月に出ます。ちょうどその時、東日本大震災が起こって選挙どころじゃなかった。それで落選した。

翌年2012年が、民主党政権から自民党政権に政権交代をするかどうか、第二次安倍政権が始まる時代。同時に日本維新の会を立ち上げる。橋下(徹)さん、松井(一郎)さんや僕らが、日本維新の会を立ち上げさせてもらった。

その時に、東国原を蹴落とそうとする一派があったみたいで、スキャンダルを上げつらおうじゃないかということで、週刊文春に載ったのが「東国原が22人の女性と付き合っている」みたいなのが出た。これは明らかに事実無根なので訴訟をさせてもらった、ということであります。

※2010年4月に宮崎県で発生し、約30万頭の家畜が殺処分されるなど地域の畜産業に甚大な被害を与えた感染症「口蹄疫」の事案。

――あれも結局勝訴はしたと思うんですけど、賠償額も安く、結果的には「書いたもの勝ち」だったのでは?

東国原 それはおっしゃる通りですね。週刊文春さんは何が目的だったかというと、(勢力的に)伸びている日本維新の会をどれだけつぶせるか。あの頃は松井さんも橋下さんも結構やられましたよ、スキャンダルで。僕はもうお金とかそういうスキャンダルが一切なかったので、女性関係だということでした。

確かに女性関係はあったんですが、僕、宮崎県知事選に出る2006年に、かとうかず子とは離婚しているので、独身なんですよ。何が許せなかったかというと、週刊文春さんが書いたのが「県知事室で女性と関係を持った」と。

一切ないですから。天地神明に誓って一切ないですから。

だって県知事室っていうのは、周り全部が秘書課で囲まれているんですよ。誰をどうやって連れて入るのか。県知事室に入るときは全てチェックが入るんです。誰が何時から何分くらい入ったかということが全部厳選されている。女性がプライベートで入れるわけがない。あと、「シャワー浴びた」とか書いてあったけど、シャワーないです。

というのもあって、事実無根。これはちょっとひどいな、と思って訴えさせてもらったんです。

報道は本当に“書いたもん勝ち”みたいな感じでした。2000万から3000万の損害賠償請求を弘中(惇一郎)弁護士に手伝ってもらって、訴訟を起こしたんです。完全勝訴したんですが、賠償金は220万円くらいですからね。あの頃の相場です。今でもそれぐらいじゃないですかね。

名誉毀損で、清原(和博)さんか誰かが1000万単位の損害賠償を受けたという判例(※)はあると思うんですが、普通だったら2、300万ぐらいの損害賠償です。これは世界的にも本当に安い。欧米だと何億とか、下手すると何十億の損害賠償になるので。

名誉毀損を刑事事件にするのは日本だけで、世界の常識は民事なんです。民事で高い補償をつけているんです。ですから、おいそれと下手なことは言えないんです。日本はわかりませんけど民事が安い分、刑事でも告訴できるという体系にはなっているのかなと思ったりもします。そういった意味では文春さん・新潮さんの週刊誌、あるいはスポーツ紙の方たちは“書き得”というのはあると思います。

書いて雑誌が売れた方が、僕に訴えられて2、300万円払う、裁判費用を含めて300万円払うより利益が上がるというのは、業界の常識になっているんじゃないかな。ただ今、本当にネットが普及してきて紙が売れなくなったというのは、実際そうみたいですね。本当に紙は新聞もそうですし、売れなくなっているということは事実かなとは思います。

※2000年に「週刊ポスト」が報じた金髪ストリップ通い報道をめぐり、清原和博氏が名誉毀損で提訴。2001年の東京地裁で小学館に1000万円の賠償を命じる判決(高裁で600万円に減額)が出た事例。

SNS時代だからこそ発信に責任 熊本地震の「落石投稿」への批判とも向き合う

――デジタルメディアの話も聞かせてください。選挙報道も候補者の方のアピール方法が変わってきています。結構過激な発言をして「バズったもん勝ち」みたいなところがあったりする。政治家という立場から、東国原さんはどのように見ていますか?

東国原 是正が必要だとは思います。今、国会でも盛んに議論がされています。虚偽情報とか、そういったものはやっぱり無くしていかなきゃいけないだろうなと。プラットフォームがどう削除するのか、どうスクリーニングするのか、というのが問題ですね。プラットフォーム会社も、投稿する側も「再生回数が利益になる」という構図なので。過激に再生回数を回す。プラットフォーム側も再生回数が上がるとスポンサー収入が上がりますから。ここもあまり取り締まれない、というのが今の状況なので。

これでは民主主義をねじ曲げるんじゃないかなと思っているので、過激かどうかというよりまずは“虚偽”。事実無根等々の報道や、SNSへのアップですね。そういったものを厳しく取り締まっていただきたいなと思います。まずはそこですね。

ただ、報道の自由だとか、憲法上の自由権、あるいは表現の自由だとか、言論の自由だとか。そういったところの兼ね合いが非常に難しいとは思うんですが、明らかにフェイクニュースであったり虚偽情報であったり、事実無根の投稿である場合は、これはプラットフォーム側がきちっとスクリーニングしていただく。というのが一点と、やっぱり厳罰化も必要なのかなと思います。ただ大変ですよ。この方たち(プラットフォームや虚偽投稿したユーザーなど)を訴えていくのは。大変な労力とエネルギーが必要なんですが、やっていかなきゃいけないのかなとは思います。

――東国原さんのXを見ていると、最近は平和な印象を受けます。それは意識的にやっていることですか?

東国原 そうです(笑)。

数年前までコメンテーターをやっていました。コメンテーターや政治評論家をやっていると、切り込んでいくのも一つの仕事なんですね。つまり、他のコメンテーターより先にコメントを発表する。生放送であったり、SNS上だったり。他の方が考えないような切り口で切り込んでいくというのも、我々コメンテーターの価値観なんですよ。

付加価値を上げることになる。数年前まで5つくらいの番組をお邪魔していたんですが、生放送は本当に早くて正確にしていました。ただ、気をつけなきゃいけないのは、失言があります。間違った内容である可能性があるので、そういったことは十分配慮してやっていました。

生放送とかVTRのコメントでも、文章になると質が違ってくる。XとかFacebookとか、Tiktokとか、そういったところにはできるだけ、切り込むようなエッジの効いたようなコメントとか動画をできるだけ載せないようにしている。

その分、生放送とか収録番組でエッジを効かせる、という使い分けはしていました。

――政治家の方でもレスバトルをする方がいます。そういうのを一切やらないようにしているというところですよね?

東国原 はい。できるだけXなどでは波風を立てないように柔らかく。

SNSでバトルを僕も何回かしたことあるんですよ。例えば、堀江(貴文)くん。カルロス・ゴーンさん(元日産自動車最高経営責任者)が、海外に逃亡したとき、ご存知ですか?2020年の1月やったかな正月ぐらいでしたよね。

あのときに批判したんですよ。カルロス・ゴーンさんが国内法を無視して、楽器のケースに入って国外逃亡したという事件(※)があったんです。あれを批判したんですが、それに対して堀江くんがかみついてきたんです。あの時はXで結構やり合いをしたんです。

堀江くんは検察の“人質司法”といいますか、そのやり方に対して苦い経験があるんですよ。それに対しての批判でした。

「カルロス・ゴーンさんが逮捕・送検されて、もうこれは99.9%有罪になるという方向性で検察は総意を作った。だからそれに抗うためには国外逃亡しかない。国際的には国外逃亡というのはまだあることだ」と、堀江くんは国際的な視野で言うわけです。

でも僕は、「ここは日本で国内法がある。検察の取り調べのやり方には問題があるかもしれないが、やはりルールには従うべきじゃないか」という論調で2人で結構バトった時はありました。

※2018年に金融商品取引法違反の容疑で逮捕されたカルロス・ゴーン被告が、保釈中の2019年末に音響機材の大型ケースに潜伏して日本を不法出国。関西国際空港からプライベートジェットでレバノンへ逃亡し、国際手配された事案。

――お2人だったら前向きな議論になりそうな気がします(笑)。ですが、一般人を相手にすると難しいです。東国原さんは先日、熊本県地震の際、目の前で落石があったことを投稿し、状況を現場から詳細に報告していました。これがバズると一部から見当違いな批判が集まりましたね?

東国原 「ヘルメットを被ってくれ」「安全な場所に逃げろ」。この2つが多かったと聞いています。

宮崎県の椎葉村という熊本県境に近い山奥です。そこであいさつ回りした時にあの地震が起きたんです。目の前にゴロゴロと岩が落ちてきた。台風とかは予知できますから、避難道具とかそういうのは一応持って行くんですが、地震はさすがに予知できなかった。僕がレポートするべきかどうか、ちょっと一瞬悩んだんですが「こういう状況になってますよ」というのは誰かに知らせなきゃいけない。

熊本県民の皆さんにも、全国にもと思って、あの大きな岩の前で「こういうのが落ちてます。他でも被害があるかもしれません。お気を付けください」ということを言いました。ヘルメットは被ってません。その後すぐヘルメットを買いに行きました。今は車に常備してあります。

本日、16時27分頃発生した熊本を震源とする地震!自分は熊本に近い、宮崎県東臼杵郡椎葉村にいた! pic.twitter.com/gCyX1tKPNF

— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) July 28, 2026
東国原英夫の公式Xより

で、「安全な場所に逃げろ」。あのときに安全な場所はございません。全部そういうところなので、余震が来て、いつ岩が落ちてくるかわからないところなので。あそこに止まっていようが、Uターンして逃げようが、まっすぐ逃げようが同じ場所です。なので、申し訳ないですけど安全な場所はあの地域にはなかった。

安全といったら大きな岩の陰に隠れているというのが一番安全かな、という感じはしたんですけど。そこにまた岩が落ちてくる可能性もあるので、この2つはちょっと申し訳なかったんですけれども、充足できませんでしたね。今後の課題です。

――それに対する言い訳のような投稿はXにされてないですよね?

東国原 僕は一切しないです。ただ、今の話(落石時の状況説明)は、僕のYouTubeライブで数日前に挙げさせてもらいました。

「投稿ありがとうございました。おっしゃる通りです。ヘルメットは被っていませんでした。ヘルメットはもう用意しました」ということと、「地震は予知できないので、安全確保のために全力を尽くす」といったことは言わせていただきました。難しいですよね。

――昔と違ってご自身でちゃんと説明できるのも、それはそれでいいところですね。

東国原 SNSのいいところだと思います。地上波、いわゆる“オールドメディア”の新聞には文字数制限があります。生放送には様々な制約があります。テレビ局等々ですね。

どうしても編集すると切り抜きになります。ここに意図が入る余地があります。SNSは、編集しなかったら全部そのまま丸出しにできるので、これは正直なものですね。本心本音、全ての現実がここにあるので、そういった意味ではSNSというのは利点があるとは思います。ただ、SNSも最近は短くショート動画を切り抜いて拡散するというようなこともあるので、その辺をどうするか。

編集なしが一番いいんです。編集なしで、「全部を見てください」がいいんですが、なかなかそういう風にはSNSもできないのかな。オールドメディアも切り取りますよね。編集します。SNSも切り抜きとか編集ができるので。できれば編集なしの、実物大のものをお届けしたいなという本音があります。

――確かにそれが本当の意味で「正しい」ということですね。

東国原 そうです。ただ、SNSがこんなに敷衍(ふえん)してきて、「うそはつけない時代」になったのかなという感じはします。SNSは全てを収めますね。ですからうそはもうつけない。特に政治家や公人の方たちは。

例えば、高市さん(高市早苗首相)が熊本を視察しました。上空でヘリコプターから拝んでいるシーンと現地を視察するシーン。その様子に音楽をつけて、編集してますよね。「こういう視察をしました」という報告動画だったらいいんでしょうけど、それを編集して音楽をつけてプロモーションビデオみたいにしてると、これはちょっとどうなのかな?という気はします。

でも、それは見る人によって(印象が)全然違うので、高市さんのプロモーションビデオみたいなものを是とするのか否とするのか、というのは意見が分かれることだと思います。

今回の(熊本地震の)災害もそうだったんですけど、AIで画像を作るじゃないですか。あれが本当に分からないですね。本物か、偽物かが。僕も何本か見させてもらいましたよ。本当にアナウンサーが報道しているように見えるんです、どれもAIらしいです。

だから、情報リテラシーというのは我々はつけなきゃいけないのかなとは思います。何が正しいのか、何が間違っているのかというのですね。

――それも先ほどの話ではないですけど規制の部分というところもないと、偽の情報であふれ返っちゃいますよね

東国原 そうなんですよね。AIが本当に進化しているので、本当は本物かどうか、偽物か見分けがつけられなくなっていますね。

「優秀な人間が辞めていく」テレビ業界の現在と“オールドメディア”の未来

――“オールドメディア”というワードも出てきました。東国原さんもテレビに出られる機会があると思いますが、「テレビはつまらなくなった」と感じることはありますか?

4月9日に(宮崎県知事選への)出馬宣言をしたので、地上波とかそういうのは放送法上、平等性と公平性で私は出られません。現職の方は公務としてテレビとか投稿には出れるんですけども、僕は地上波とか新聞雑誌全部出られないです。なので、今日(のインタビュー)はありがたかったです。僕はネット、SNSで活動を皆さんにお示ししている。

――それは現場の出演者としてか、視聴者として思うところですか?

東国原 僕はここ数年テレビを見ていない。報道とスポーツしか見ないので、バラエティーやドラマはよくわかりませんが、もう数年前から僕はテレビを見なくなりました。

報道とスポーツはアレンジのしようがないです。編集しようがないです。生放送で1、2時間やっているとあれが一番正直ですよね。報道も局の意向とか、ディレクター、プロデューサーの意向でちょっと変更したりはします。それはリテラシーを持って見ればいいことではあるので、報道は見ます。

テレビがつまらなくなったか?に関して言うと、バラエティーは間違いなくつまらなくなったと僕は思います。そうじゃない方もいらっしゃると思います。昔の話で申し訳ないですが、80、90年代のテレビは面白かったと私は思います。あの頃のフォーマットは、たけし、タモリ、(明石家)さんま、この巨匠が作ったんですよ。

そのフォーマットの通り、2000年代も2010年代も内容やコンテンツをちょっと変えるだけで、フォーマットはほとんど変わってないので。ですからまあ、僕としてはそんなに面白いとは思わない。

ドラマなんかも脚本が漫画アニメ等々の原作になっているので。それもちょっと、僕的にはあまり面白くないという結論を出しています。だからあまり見ません。

――東国原さん自身が、テレビが一番盛り上がっていた時期を知っているからこそ、ちょっと盛り下がっているなと感じるのでしょうか?

東国原 そうですね。今はネットとテレビの市場が半分半分くらいになっています。2、3年前からネットの方にスポンサーさんも重きを置くようになって、広告収入がSNSの方が上がっている。これが答えじゃないですかね。

テレビ業界の方も一生懸命作る。でも、面白くしなきゃいけない。面白くしなきゃいけないと、“やらせ”をやってしまうみたいなところもあって、逆効果になったりして。(内容が)薄くなっていく。すると面白くなくなっていって、スポンサー収入が減る。会社の業績が悪くなる。

僕も友人知人から業界のことをよく聞くんですけど、スタッフがだんだん辞めていくらしいです。優秀なスタッフが地上波の局よりも、自分で局を開いてSNSで稼いだ方が好きなことができる、自由なことができる。それで収入も上がるというので優秀な人間がだんだん辞めていく。あるいは、優秀な人間が就職してこない、という現実はあるみたいです。

――メディアを取り巻く環境もなかなか厳しくなっているということですね…。最後に。内外タイムスもWEBメディアとしてリニューアルしました。今後、どういったメディアになってほしいか、ご意見いただきたいです。

東国原 僕はもう「真相究明のメディア」になってほしい。以前がそうだったようにです。「えぐる」というか「踏み込む」というか。

報道の政治行政の観点でいうと、やはり真相究明。そこに食い込んで、真実を明らかにする。国民の皆さんの知る権利を充足するようなメディアになっていただきたい。

今回の福岡県議会のことでも、地元の西日本テレビかな?フジテレビ系列のメディアが一番最初に報道した。そこから踏み込んでいったんですけど、地元の福岡のメディアって偉いなと思っています。すごく評価をしています。結局第三者委員会まで持っていくじゃないですか。あれはメディアの力だと僕は思う。本当は弁護士さんだけで内部調査をして終わりだったものを、県議会の議長さん、蔵内(勇夫)さんという方ですね。もう第三者委員会を立ち上げますということになっているので。

内外タイムスもそういうメディアになっていただきたいなと、切実に願います。僕が仮に政治をやるときには、ちょっと緩めにしていただけるとありがたいです(笑)。

――数年後にぜひ、答え合わせをさせていただければなと思います。貴重なお話をありがとうございました。

東国原 ありがとうございました!

インタビュー・文/加藤聡 内外タイムス編集部

《プロフィール》
東国原英夫(ひがしこくばる・ひでお)1957年宮崎県都城市生まれ。1980年に専修大学を卒業後、ビートたけしに弟子入りし、「そのまんま東」として芸能界で活躍。2000年に早稲田大学第二文学部へ進学し、2007年に宮崎県知事に就任。2012年には衆院議員に初当選。現在は政治評論家、タレント、作家などマルチに活動している。

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