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証人として出廷した友人は被害者に無関心 被告人は冤罪を主張【裁判傍聴記・後編】

アルバイト先のからあげ店前で知り合った男の自宅に出張マッサージに訪れた被害者。無理矢理、10万円を貸し付けられ、施術中にわいせつ行為を受け怪我を負う。被害後、すぐに好意のある友人男性に相談するも、そこで返ってきた言葉は意外なものだった。

性被害に遭った女性 救いを求めた友人に言われた言葉は…【裁判傍聴記・前編】より続く

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検察「会ってAさんに事件の内容は聞かなかったんですか?」

証人「聞いても自分に出来る事ないんで」

検察「その日、解散して次はいつAさんと連絡を取りましたか?」

証人「解散後、『明日警察に行ってくる』とLINEがきた。その後、『自分の名前を出したから警察から連絡があるかも』とLINEが来ました」

検察「事件後、会ったのはいつ?」

証人「事件の日以来、会っていません。」

検察「理由は?」

証人「自分の名前を出さないと言ったのに、出されて、巻き込まれて、もう会うのがめんどくさくなって会ってないです。『警察から連絡があるかも』ってLINEが来た時点でブロックしてアカウントを消しました」

弁護人「Aさんと交際していたわけではないのですか?」

証人「していません。お互いの家に行き来はあったが泊まったりする事はなかった。家族状況も知りません」

弁護人「Aさんがなんの仕事をしていたか知っていますか?」

証人「マッサージの仕事をしていたと聞いています」

弁護人「からあげ屋さんで働いていたことは?」

証人「からあげ屋?覚えてないです」

弁護人「Aさんがマッサージの店舗を出店したいというのは?」

証人「興味がないので覚えてないです」

弁護人「Aさんのその後が気になることなかった?」

証人「なかったです。正直、巻き込まれたんでもう関わりたくないです」

遮蔽された証言台で終始、不貞腐れた様子のBは、令和7年夏頃にAと知り合い、数回しか会っておらず、自分はAに好意はなかったと述べる。この様子から証人尋問に出廷すること自体、相当渋ったのであろう。

被害者供述とまったく異なる男の言い分

事件の翌日、Aは知り合いの警察官に相談し、11日に管轄の警察署へ被害申告した。

9日から11日にかけ、男からAの携帯に11回電話がかかってきているがAは応答しなかった。被害申告した際にAは警察官と一緒に留守番電話の音声メッセージを確認した。

「おいコラ!金、明日午前中に持って来いや!男に持ってこさせろ!こらぁ!俺が何者かわかっとるんか?右翼ぞ!指一本落としちゃんけんのぉ!」

11月10日19時43分にAの携帯に残されたその音声メッセージにより男は恐喝未遂罪で逮捕された。

裁判は被告人質問に移る。男の言い分はこうだ。

からあげ店前で話しかけてきたのはAであり自分からは話しかけていない。「出資してあげる」など言っていない。物件を見に来た際にAが「メンズエステの仕事をしている」と言い、物件を見に来たのは「メンズエステをしたいから」だと言っていた。「揉んであげましょうか?」と言われたので性的マッサージと思い断った。普通のマッサージの出張が出来るならお願いすると話し、11月8日に改めて来てもらうことになった。

事件当日、Aが自宅に来たので一階のリビングで珈琲を出してあげた。するとAが「母子家庭でお金に困っている」と泣きながら「10万円を貸してほしい」と懇願してきた。

彼氏が組織の一員で周りに団員がいて自分になにかあれば助けてくれると言っていたので、それでメンズエステの仕事が出来ているのだと思った。「彼氏に借りれば?」と言ったら彼氏にお金の相談は出来ないと言ったので、同情して彼女に金を貸した。そして、「メンズエステを出店するのに出資してくれないか?」と言われた。私は家の土地を売って何千万かお金はあったが「出資は出来ない」と断った。その後、マッサージをしてもらい、「オイルマッサージどうですか?」と言われるも、Aは自分のタイプではなく、性的魅力を感じないし、自分には交際相手もいるので断った。途中、Aが「このあと子供と一緒にご飯を食べに行く」と言っていたので「予定があるならマッサージを打ち切ってもいいですよ」と伝え、Aは帰り支度を始め、私は一階に降り、そのあとAが降りて来て5000円を渡し、私が玄関の鍵を開けてAは帰っていった。わいせつ行為は一切なかった。

恐喝事件については、マッサージをしてもらった次の日、Aがお金を返してくれるのか心配になった。過去、4、5人に200万程貸して返ってこなかった経験があったので、電話してAが応答せず、逃げたと思った。何度も電話し、留守電にメッセージを残した。強い口調で留守電を残せば折り返してくれると思った。また、Aのバックには反社会的組織がついていると聞いたので自分に危害が加えられるかもしれないと思い過激な事を言った。

自分は反社会的組織の人間でも、右翼でもない。

裁判所は男の供述は信用できないと一刀両断

検察官からの「逮捕時、『婚姻歴がなく、交際相手もいない』と言っていたが?」の質問に「取調べではそう言ったが本当はいる。いたけど迷惑をかけたくないから、いないっていったんじゃないかな。迷惑かけるんで」と答え、「最初に恐喝事件で逮捕されて、彼女がいるって言いだしたのは不同意わいせつ事件で再逮捕されてからですよね?」と問われると「ずっと言っていますよ」と答えた。

「なぜ起訴状の事実がないのにAさんはあなたを刑事告訴したと思いますか?」との問いには「私がメンズエステの出資を断ったことを不快に思ったのではないですかね?私が刑務所に入れば借りた10万円も返さないで済みますからね」と答えた。

裁判所は検察の求刑通り、男に拘禁刑7年を言い渡した。

判決理由として被害者Aの供述と証人Bの事件当日の証言に一部不自然な点もあるが、被告人からの被害を揺るがすものではなく整合している。Bは事件後、Aと会っておらずAがBに虚偽供述を頼むことは不可能であり、Bと被告人は面識がなく、Bが被告人に不利になる供述をする必要もない。被告人はAが出資を断わられた事を不満に思い、被告人が刑務所に入れば借金を返済せずに済むから虚偽の供述をしていると述べるが、Aは生活に困窮していたわけでもなく、この法廷で被告人に有利になる供述もしており、全てを正直に話しており、Aの供述は信用できる。Aが関係性の薄い被告人に借金、出資をお願いするのも不自然であり、反社会的組織と関係があると思っていたAに対し、長期的かつ分割で貸し付けるのも不自然である。直ちに返済を求める事情がないのにも関わらず、貸し付けた翌日から10回以上電話し脅迫文言を留守番電話に残すのは社会通念上許されるべきものではない。よって恐喝未遂罪も成立する。被害者が逃げるのが難しい状態でわいせつ行為を行っており、その態様は卑劣で悪質。Aが逃げたため一週間の怪我で済んだが被告人が不合理な弁解をするためAは出廷し証言せざるを得ず、二次被害を受けた。前刑から半年での犯行であり、再犯可能性が高い、とした。

性被害、恐喝被害に遭い、法廷では被告人から反社会的組織と関係を持ち、メンズエステをしている女とレッテルを貼られ、好きだった男からも見放された被害者。

現在は大好きだったマッサージの仕事も出来なくなっているという。

文/田辺朋之 内外タイムス

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