高市政権が進める「家事代行利用で税金軽減」は“ワンオペ”のシングルマザーにとって朗報なのか
高市早苗政権は、7月21日に閣議決定した「骨太の方針」(今後の重点政策などの方針)に、家事代行やベビーシッターの利用促進を盛り込んだ。
主に共働き世帯を念頭に、家事代行などのサービス利用料の一部を納税額から差し引く制度が検討されているが、日々「ワンオペ」育児と仕事に追われるシングルマザーも時間を確保したいのは共働き世帯と同じか、それ以上。「家事代行利用で税金軽減」は、シングルマザーにとって使いやすい制度となるのだろうか。当事者に話を聞いてみた。
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福岡県在住の高橋優美さん(仮名、30代)は営業事務の仕事をしながら6歳の息子を育てるシングルマザー。朝6時過ぎに起床し、7時ごろ家を出て、17時半ごろに帰宅。その後、育児や家事などをこなし23時半ごろに寝るというハードな日々だが、家事代行利用による税制優遇策には懐疑的だ。
「そもそも家に他人を入れたくないし、税制優遇と言われても、いちいち領収書を保管したり、確定申告したり面倒。だったら年少扶養控除(子どもを扶養している場合、税金が軽減される制度)を復活させてほしい。それなら共働きにもシングルマザーにも恩恵があるのに」(高橋さん)
一方、大阪府在住で10歳の息子を1人で育てる橋本陽子さん(仮名、40代)は、家事代行を利用したい気持ちはあるものの、税制優遇策にはあまり期待を持てていない。
橋本さんは介護職として働くが、息子が登校をしぶることも多く、その対応で出勤が遅れてしまうと給料が減り、月の手取りが20万円を切ることもある。
「1人で育児も仕事もしていると、とにかく時間がないから、本当は家事代行に掃除や料理を頼みたいけど、税制優遇策が実現しても、私のようなシングルマザーには家事代行にお金を払うどころではなく、使いづらいのが実態かな」とため息をつく。
橋本さんはネットで家事代行の相場を調べたが「大阪だと1回9000円くらいかかる。例えば費用の2~3割分納税額が減ったとしても、1回あたり6000~7000円くらいの自己負担は必要。月2回頼んだら、月額1万4000円くらい。そのお金があれば息子との食費などに使いたい」(橋本さん)
「給食がない夏休みは1日2食で乗り切るしかない」
さらに、平均的なシングルマザーの年収である236万円台の場合、税負担はもともと年数万円程度とされるため、多くの税金を納めている共働き世帯に比べ、利用頻度によっては税負担軽減の恩恵には限界がある可能性も考えられる。
「シングルマザーこそ一馬力なので、本当は家事代行のようなサービスに頼りたい。私たちも使いやすい制度設計になれば、息子との時間も確保できるし、資格の勉強時間を増やしてキャリアアップも目指しやすい」と、橋本さんは要望する。
最近ではシングルマザー向けの無料簿記学習プログラム(認定NPO法人キッズドア・CPAエクセレントパートナーズ提供)で簿記の勉強に励み、在宅勤務可能な仕事への転職、収入アップを目指す橋本さんだが、忙しい毎日の中で勉強時間を捻出することが課題だという。
ひとり親世帯への支援などに取り組む認定NPO法人キッズドアの担当者は「シングルマザー家庭は、ここ最近の物価高で『給食がない夏休みは、1日2食で乗り切るしかない』など、生活がますます苦しくなっているのが現状。資格を手にすることで時給が上がったり、在宅で働けたりと、選択肢が広がるので、キャリアアップの準備をする時間、余裕を確保する支援も求められている」と語る。
共働き世帯も、仕事と家事や育児との両立に悩んでいるが、家事代行利用による税制優遇策をめぐっては、100万以上とも推計されるシングルマザー家庭にも目を向け、こぼれ落ちないような制度設計を求めたい。
文/中村まほ 内外タイムス






