会見を開いた宮古島地下水研究会(左、Tansaの渡辺編集長) =2月29日、富名腰コミュニティーセンター

水道部へ9の公開質問状提出 地下水研究会 「国の基準値以下」に疑問

 宮古島の地下水および水道水の複合汚染について警鐘を鳴らし続けている宮古島地下水研究会(共同代表=友利直樹、前里和洋、新城竜一)は2月29日の午後2時に兼島方昭市水道部長宛てに9項目の公開質問状を提出したことを同日の会見で明らかにした。公開質問状のほか、この日までに集まった島内外からの署名6541筆も添えて提出された。
 富名腰コミュニティーセンターで開かれた会見には共同代表を含む同研究会員らと非営利活動法人Tansaの渡辺周編集長も参加し、宮古島の地下水および水道水について経緯などの説明も行われた。
 同研究会によるとこれまで何度も市に対し、市内各浄水場へ高機能活性炭浄水処理設備を設置することで農薬複合汚染対策を求めてきたが、市の対応は「検出濃度は水質基準値より遥かに微量であり汚染が明らかだとの認識はなく、安全性を担保するために今後も継続的な調査を行う」としてきた。
 前日28日には座喜味一幸市長宛てに同設備などを求める請願書などを提出しており、同研究会員らは市民への「農薬検出が限りなくゼロの水」の提供を強く訴えている。
 友利共同代表らは国内で発達障がい児童生徒がこの10年で約2倍、県では8倍増加しており、宮古では44倍と増加していることと、この地下水および水道水の農薬複合汚染との因果関係は決して浅くはないと提言している。
 友利共同代表は「この10年間の増加は、県ではその認識が改まったことなどいくつかの要因はあるが、宮古の増え方は尋常ではない」とし、「認識が改まったあとに発達障がい児数は急激に増え、その後ゆるやかな数値になっている。一方で宮古は毎年右肩上がり」と独自の調査報告をした。「同研究会で行った高感度測定法を用いた水質調査に比べ、1月11日に市水道部ホームページで公表された数値は500分の1の低感度測定法からの結果が記されている。安全性を担保する割にその結果は公正ではない」と主張する。
 兼島部長へ公開質問は▽高感度測定法ではない結果による公表の是正▽国の基準値以下なので農薬成分が水道水から検出されても安心安全と言える理由▽糸数公保健医療部長は『高機能活性炭浄化処理設備については宮古島市から要請があれば財政支援を行う』と県議会でも答弁しているのに市は必要ないと判断し、増設を求めないことへの明確な理由―など項目は9つ。約2週間の回答期限を設け提出したという。

関連記事一覧