座喜味市長(中央)は3月定例会初日に次年度施政方針を示した =市議会本会議場

6次産業化で「稼ぐ力」を 24年度施政方針 市民のための市政運営

 座喜味一幸市長は市議会3月定例会の開会にあたり、2024年度施政方針を示した。就任からの3年を「市民ファーストを基本姿勢に、市民の所得向上、誰一人取り残さない社会の構築等の公約達成に向けてさまざまな分野での取り組みを推進し着実に歩んできた」と施策の充実度を振り返り、「24年度を新たなステージへのステップアップと位置付け、市長任期の集大成として将来を見据えた持続可能な島づくりを堅実に進める」と市のさらなる飛躍を表明した。
 宮古島市議会(平良敏夫議長)は1日、市議会本会議場において3月定例会を開会。本会議初日は座喜味一幸市長が2024年度市政方針を発表したほか、新年予算を含む55件の議案が議会上程された。
 市政方針で座喜味市長は「コロナ禍を経験して時代は転換期を迎えている。価値観や働き方、ライフスタイルが大きく変化する社会情勢の中、市民ニーズに適切かつ柔軟に対応しながら市政運営を行い、これまでの取り組みを踏まえて新たなステージへのステップアップに向けて、公約の着実な遂行に取り組む」とした上で、市政運営の核となる4つの基本方針を示した。
 一つ目の市民の所得向上については、6次産業化の推進を柱として地産地消の促進を図ることで農畜水産業の付加価値を向上させ、地域の「稼ぐ力」を強化する必要があるとして、「上野庁舎にプレハブ冷蔵庫を設置して生産から消費までをつなぐ仕組みの構築でき、学校給食への地産食材の安定提供を実現した」とこれまでの取り組みを紹介した。
 その上で、「今後は商品開発や販路開拓等により、入居事業者の成長と事業化を支援する施策の導入や改修工事等を積極的実施するなど創業支援を強化する」と事業推進に意欲をみせた。
 誰一人取り残さない社会の構築に向けては、▽子育て環境整備▽学びの向上▽社会福祉の充実―を掲げ、少子化対策として「出産から子育てまでを一体的に支援するために『こども家庭センター(仮称)』を新設し、妊娠届時に5万円、出産届時に5万円の経済的支援をする」としたほか、すべての子どもの心身状況に対応した居場所確保に向けて「ソーシャルワークの実施、食事の提供や学習支援等を実施できる拠点の創設を目指す」とした。
 教育関連では、各種検定料の全額支援、選手派遣費用や修学旅行費用などへの経済的支援の拡大を打ち出したほか、一人ひとりの教育ニーズに応じた学びの実現と、安心・安全に学ぶことができる教育施設環境の整備を推進するとした。
 超高齢化社会の到来に対しては、「地域福祉活動のネットワーク化を推進し、支援を必要とする方々の福祉ニーズに対応したサービスの提供が必要であり、高齢者の社会参加の促進や生きがいづくり、障がいのある方の経済的な負担軽減や生活支援等、住み慣れた地域で安心して暮らせる社会の実現を目指す」とした。
 次いで市民のための市政というテーマでは、「地域懇談会などを通して地域の声に耳を傾け、住民ニーズに対応した質の高い行政サービスの提供に向けて部局間の連携強化を図る」とした。
 一方で市の財政状況を「普通交付税や各種基金は減額傾向にある中で、扶助費等は増加傾向が続くことで予算編成は年々厳しい状況にある」との分析を行い、「予算執行においては、国県の各種補助金やふるさと納税等により財源を確保するほか、民間資金を活用した整備・運営に取り組むなどの創意工夫により効果的・効率的な運用を行う」としたほか、入札の透明性・公平性の確保に向けて「24年度から電子入札システムによる一般競争入札を実施する」とした。
 方針のまとめとなる新たなステップアップに向けたプロジェクトの推進については、「類似公共施設の整理や有効活用による行財政改革の推進、総合体育館や伊良部野球場の充実整備により、プロや学生チームなど多くのスポーツキャンプ誘致を行う」などとしたほか、民間活力の積極導入を推進して、市民と観光客の双方が満足できるまちづくりや交通・観光インフラ整備に取り組むとした。
 さらに、市政方針に基づく主要施策テーマとして①地下水や豊かな自然環境と共生する島づくり②子どもたちが笑顔にあふれる活力と郷土愛に満ちる島づくり③一人ひとりが支え合う幸せと潤いのある島づくり④島の特色を活かした産業と多彩な交流・活力に溢れる島づくり⑤安全・安心で快適な暮らしが持続する島づくり⑥市民との協働により夢と希望に満ちる島づくり―の6項目を示した。
 詳細はQR先の市のウェブサイトで公開される。

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