宮古島市の避難実施要領を説明する川満防災危機管理係長(左)。右は多良間村の来間総務財政課長 =県庁

宮古島から6日で島外避難 県国民保護共同図上訓練 多良間、2日で宮古島へ

 【那覇支局】2023年度県国民保護共同図上訓練が30日、県庁で行われ、その中で宮古島市、多良間村など先島5市町村が参加した関係機関等連絡調整会議運営訓練が実施された。同会議運営訓練では、先島5市町村の危機管理担当者が「避難実施要領(案)の概要」を説明。宮古島市は「航空機・船舶により6日程度で全住民が島外避難」の島外輸送計画を明らかにした。また、多良間村は「全住民が2日で島外(宮古島市)に避難する」との避難誘導の方法が明らかになった。
 今回の訓練は「A国から日本への武力攻撃の可能性の示唆等もあり、政府は最悪の事態に備え武力攻撃予測事態を認定」との想定で行われた。
 関係機関等連絡調整会議運営訓練には先島5市町村のほか、内閣官房、消防庁、防衛省、国交省航空局、海上保安庁、自衛隊、県警、航空各社、多良間海運などが出席。宮古島市からは川満秀誉防災危機管理係長、多良間村からは来間玄次総務財政課長が出席した。
 宮古島市の川満係長は同市の「避難実施要領(案)の概要」を説明。避難誘導と島外輸送計画について「本市住民および滞在者等の島外避難(宮古島→鹿児島県直行)については、国・県で確保した航空機等の運航計画に合わせ、島内輸送機関と調整し、バスによる宮古空港(1日当たり6645人)、下地島空港(1日当たり2832人)への避難者の輸送を行う」とし「国・県が調達した航空機・船舶の運航ダイヤに基づき、6日程度で全住民が島外避難する」とし、また大神島島民については「船舶により宮古島本島までの輸送を行う」と述べた。
 多良間村の来間課長は同村の「避難実施要領(案)の概要」説明の中で、避難誘導について「村は全住民および滞在者等について、県等と調整し確保した船舶および航空機をもって、全住民が2日で島外(宮古島市)に避難し、その後、宮古島市から九州への避難を完了する」と述べた。
 会議運営訓練後、来間課長は「多良間は畜産の島で、牛が3千頭余りいる。牛を捨てては行けない。一時避難の場所、シェルターのようなものが必要になってくるのではないか」と語った。
 同図上訓練は事態認定前後の避難実施要領などの検討および認識共有を行い、国民保護措置の実行性の向上を図る目的で行われた。

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