知事コメントを読み上げた後、記者の質問に答える溜知事公室長 =県庁

知事「承認は困難」 辺野古工事の裁判 県は上告、国は代執行へ

 【那覇支局】米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡る地盤の改良工事の設計変更承認の代執行訴訟で福岡高裁那覇支部が承認期限としていた25日、玉城デニー知事は「承認処分を行うことは困難であると判断した。多くの県民の願いをしっかりと訴えるべく、上告に向けて検討を進めていく」とコメントを発表し、期限の27日までに上告する方針を示した。国は県の方針を受けて、県に代わって工事を年内にも承認する「代執行」を行う。国が自治体の事務を代執行するのは初めての事案となる。
 玉城知事は承認しない理由として▽今回の判決にはさまざまな問題がある▽辺野古新基地建設に反対する県民の負託を受けているーことを挙げた。
 最高裁では「今回の判決の問題点を明らかにし、多くの県民の願いをしっかりと訴える」とし、政府には「工事を中止し、問題解決に向けた県との真摯な対話に応じてほしい」とコメントしている。
 肺炎で病気療養中の玉城知事のコメントを代読した溜政仁知事公室長は「代執行は地方自治の観点や県民の民意という観点からも問題があると思う。今後は対話によって解決する道を引き続き求めていきたい」と話した。
 国は28日にも代執行に踏み切る見通しで工事は来年1月中旬ごろには再開されるとみられる。上告しても最高裁で逆転勝訴とならない限り、代執行は止めることはできない。

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