(左から)水上代表、座喜味市長、比嘉社長は脱炭素先行地域選定で記者会見を開いた =市役所2階大ホール

脱炭素エコアイランド宮古島目指す 総事業費は5年67億円

 宮古島市(座喜味一幸市長)は第4回脱炭素先行地域選定に関する記者会見を9日、市役所大ホールで開いた。市内下地地区と狩俣地区において実施される電力の地産地消事業を市が申請し環境省から脱炭素選考地域に選定されたもの。事業実施は2024年度から5年間で再生可能エネルギーの最大活用を目指しており、実現すれば島内電力利用の15%を再エネで賄うこととなる。市は総事業費67億円を見込んでいる。
 会見には座喜味市長と共同提案事業者のネクステムズおよび宮古島未来エネルギーの比嘉直人社長、リモートでソシオフォワードの水上貴央代表が出席した。
 選定を受け座喜味市長は「本市は2008年のエコアイランド宣言以来環境保全、産業振興などを課題に島しょ型低炭素社会システムに向け幾多の取り組みをしてきた。その中でも市内の太陽光発電や電気自動車が普及し、民間では屋根上太陽光事業など一定の成果が出ている」と話した。
 その上で「2021年度にはゼロカーボンシティーを宣言し50年の二酸化炭素実質排出ゼロという脱炭素社会を掲げ、地域資源が地域内で循環することを目指している。エコアイランド宮古島をさらに進化させ『脱炭素エコアイランド宮古島』に取り組んでいく。ぜひ市民の理解と協力をいただきたい」と述べた。
 比嘉社長は「18年から太陽光蓄電池の無料設置ビジネスを県内で初めて展開してきた。今年で千件の契約件数となり、宮古島全体だけでなく県全体で住みたいところに住み続けられるサービスを続けたい」と話した。
 水上社長は「再生可能エネルギーが地域を生み出す取り組みが評価されたことが大変喜ばしい。市民の所得の向上など地域の活性化につなげていくことを目指していきたい」と語った。
 同事業は来間島で実施されてきた地域マイクログリッド構築支援事業の実証成果を発展させたもので総事業費67億円を見込んでいる。
 事業実施は24年度から5年間で下地、狩俣の両地区にある住宅1757戸、民間施設237カ所、公共施設26カ所を対象に太陽光発電パネルと蓄電池を設置するほか省エネ機器の積極導入や電気自動車シェアリング事業の実施、蓄熱冷凍冷蔵設備の整備など再生可能エネルギーの最大活用を目指している。
 再生可能エネルギーの積極導入による電力の地産地消を目指す取り組みはエネルギーコストの低減につながり、離島の暮らしや産業に好影響をもたらすとみられることから今後の事業展開が注目される。

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