ウイキャームトゥ発掘調査現場で説明を受ける参加者たち =平良島尻

旧集落跡の遺構を見学 ウイキャームトゥ市教委 調査現場で説明会開く

 市教育委員会(大城裕子教育長)は7日、このほど発掘調査を実施した平良島尻のウイキャームトゥの現地説明会を行った。島尻元島遺跡内にある同ムトゥは建替工事の際に掘立柱建物跡の遺構などが見つかった。現在も年中祭事で使われている聖域で発掘調査ができる機会は稀(まれ)で、そこから旧集落跡が発見されたことが重要だという。現地説明会には地元住民をはじめ多くの市民が参加し、発掘成果の説明に耳を傾け遺構を見学していた。
 島尻自治会(宮良保会長)ではウイキャームトゥの建替工事に伴い、市教委に文化財等の有無を紹介し、旧ムトゥ解体後の今年2月に試掘調査を実施したところ遺構が確認されたため、9月20~29日に発掘調査を行った。元島は島尻集落の発祥地と伝えられ、パーントゥの際の御願など現在も聖域として信仰される場所。同ムトゥは他の地域から島尻に移住してきた人たちの先祖が祀られていると言われている。
 今回の発掘調査で見つかった掘立建物跡の一つは4㍍×2・5㍍の方形で、16基の円形遺構、もう一つの建物跡は4・1㍍×2・5㍍で9基の円形遺構で構成されている。北西端からは約40㌢の石灰岩で構成された3・2㍍ほどの石列が検出された。建物の柱・壁面等の根固め石として用いたか、城辺砂川のウイピャ―ムトゥの祭場と同じく壁面が石積の茅葺(かやぶ)き小屋の根石部分ではないと考えられている。また18~19世紀ごろの沖縄産や中国産の陶磁器、金属製の簪、動物や魚を食べて出た骨など人の生活の痕跡が出土している。
 宮良会長は「めずらしい物が出てきて驚き感激している。他の建物からは何も出ていなかった。先祖も苦労して生活していたと思う」と話した。
 市教委生涯学習振興課の久貝弥嗣さんは「現在も祭祀が行われている聖域で発掘調査ができる機会はなかなかない。人の生活跡が出てきて旧集落跡を確認できたことが重要」と調査の成果を話した。

関連記事一覧