大泊さん(左)の話に耳を傾ける岸田首相 =那覇市の首里杜館

観光テーマに意見交換 岸田首相と地元関係者

 【那覇支局】沖縄県を訪問している岸田文雄首相は26日、那覇市内で宮古島観光協会の大泊千尋青年部長らと沖縄の観光振興に関する車座対話による意見交換や首里城の復元工事などの現場視察を行った。終了後、岸田首相は「インバウンドの拡大に向け、2月の那覇港第2クルーズターミナルの供用開始や那覇空港のプライベートジェット専用動線を9月1日に運用開始するなど利便性向上に向けた整備を進める。一方で、観光客の集中やマナー違反によるオーバーツーリズムの懸念について政府として重要課題だと受け止め、秋にも対策を取りまとめていきたい」と話した。
 岸田首相と車座対話を行ったのは大泊青年部長、下地芳郎沖縄観光コンベンションビューロー会長、平良朝敬かりゆしグループ会長、紡の玉沖仁美社長、知念紅型研究所の知念冬馬社長、国頭村観光協会の比嘉明男会長の6人。観光産業の収益力や生産性の向上、オーバーツーリズムなどについて意見交換した。大泊青年部長は自身の取り組みを紹介。開発が進んだ宮古島は便利になった一方で伝統行事や御嶽が減少していると指摘。その上で宮古島の未来を考えた異業種間の連携や情報発信の重要性、伝統品の販売促進の大切さなどを伝えた。
 意見交換後、大泊青年部長は「自分の言葉で首相の顔を見ながら伝えることを心掛けた。宮古島の現状や課題は首相がうなずいたり、メモを取るなどの様子を見ると伝わったのではないかと思う」と振り返った。
 岸田首相は首里城の復元工事も視察し、「見せる復興の取り組み、工事現場の壁面グラフィックなどの取り組みを拝見した。2026年の復元完成に向け、政府として責任を持って取り組みを進めていきたい」と話した。
 終了後、岸田首相は記者団に対し、沖縄本島北部のやんばる国立公園を「国立公園における滞在体験の魅力向上に向けた先端モデル事業」の対象地域に追加すると発表した。指定を受けるのは国内で4カ所目。沖縄の自然環境の魅力を効果的に発信し、自然と観光の両立を目指すとした。
 また、2031年の国立公園制度100周年記念事業の一環で、記念貨幣シリーズを来夏に発行し、第1弾に沖縄にある三つの国立公園をテーマにする方針を明らかにした。

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