今年度から償却が始まる旅客受入施設 =平良港国際クルーズ拠点

今年度から償還開始 整備に9億円借り受け クルーズ拠点旅客受入施設

 平良港国際クルーズ拠点に整備されている旅客受け入れ施設の償還が、2023年度から始まる。総事業費11億7000万円のうち国から9億9680万円を借り受けていたもので、24年3月から半年に一度3000万円を返済する必要がある。クルーズ船入港がコロナ禍で途絶えていたため、係船料が入らずに財源の確保が危ぶまれていた。4月から外国船の入港が再開し、24年度は約100件の予約があるなど、めどが立ちつつあるという。所管する市港湾課は、今後もクルーズ船誘致に努めたいとしている。
 旅客受け入れ施設は、国際クルーズ船入港の際に、税関・出入国管理・検疫(CIQ)業務を担う。20年度に完成したが、コロナ禍でクルーズ船が途絶え長らく使用されていなかった。国内船入港時の検温場所として使用されることはあったが、ことし4月に初めてCIQに利用された。
 当初は民間事業者が整備する計画だったが、立地などで調整が難航し、頓挫。そのため、市が国の財政融資資金から借り入れて整備することになった。1年あたりの償還費と維持管理費の合計約1億2000万円をまかなうため、1㌧当たりの係船料を3円から14円に値上げしていた。
 償還期間は23~40年度の18年間で、毎年度9月と3月に約3000万円ずつを支払わなければならない。23年度の返済は一回のみ。コロナ禍で係船料収入がほとんどなくなったため、一般財源からの繰り入れなど市民負担の発生が危惧されていた。このほど市が発表した22年度の港湾管理者財政収支報告書によると、係留施設収入は2441万円。
 年間150回の寄港があったピーク時には及ばないものの、国際クルーズ拠点は徐々ににぎわいを取り戻しつつある。港湾課職員は「収入がないまま償還を迎えなくて本当に良かった」と胸をなでおろす。一方、現在の入港ペースでは、24年3月の支払い分を充足できない見込み。「港湾特別会計内でほかの収入を償還費に回すほか、場合によっては一般財源繰り入れも相談したい」と説明。
 来年度については、「25日現在で98件の予約があり、これからも働きかけをする。一定のキャンセルはあるだろうが、1億円の収入を見込んでいる。積極的なクルーズ船誘致に取り組み、安定的に収入を確保していきたい」と話した。

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