運賃改定に向け、タクシー事業者や官民の関係者が意見交換を行った =JTAドーム宮古島会議室

タクシー来月値上げへ 詳細は今月発表予定

 宮古地区のタクシー事業者と利用者、官民関係機関の懇談会が3日、JTAドーム宮古島で行われた。運賃改定に向けた手続きの一環で、内閣府沖縄総合事務局によると、8月から離島地区のタクシー料金値上げが実施される見込み。具体的な金額については、7月中に発表する予定という。7年ぶりの値上げには、コロナ禍での収入半減や燃料高騰など大きな影響を受けた事業者の経営安定のほか、運転手の待遇改善といった目的がある。
 タクシー運賃の改定は、台数ベースで7割以上の申請があった後、国の審査によって決定される。申請では現行の普通車初乗り運賃470円を、500~600円、加算は同60円(336㍍)を60~80円(277~379㍍)など幅があるが、統一した値上げ幅が7月中に公示される見込み。
 3年余り続いたコロナ禍ではあらゆる経済が影響を受けたが、外出自粛や観光客の減少を受けたタクシー事業も例外ではない。宮古地区では、輸送人員が2019年度の192万人から21年度は102万人、営業収入は同じく12億6500万円から6億8700万円とほぼ半減した。
 タクシー事業ではコロナ禍以前から、乗務員の減少と高齢化が課題となっている。県内の乗務員数は、09年の1万人をピークに21年は5200人と半減。ことし3月末現在での年齢構成は、65歳~74歳までが52%を占めている。21年度の推計値では、全産業の労働者平均とタクシー運転手で、年間19万円の給与格差があるという。
 宮古でのタクシー・バスの輸送人員割合は、21年度でタクシー87・7%、バス12・3%と、公共交通機関としての役割をタクシーが担っている側面が大きい。地域住民や観光客の移動手段を提供するため、公共交通機関として安心安全なサービスを継続するとともに、待遇改善を図ることで良質な従業員を確保するなどの目的で、運賃改定を申請した。
 県ハイヤー・タクシー協会宮古支部の下地隆之支部長は「コロナ禍の3年間で売上が半減し、行政の支援や借入でどうにか生き延びてきた。客足は戻りつつあるが、乗務員の高齢化やコロナ融資の返済など大変厳しい状況。子育て世代が働ける環境整備のためにも、運賃改定に理解をいただきたい」と述べた。

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