宇宙港事業について説明する緒川代表(右下) =配信動画から抜粋

下地島空港利活用で展望 沖縄ポリテク30周年で講演

 沖縄職業能力開発大学校(沖縄ポリテクカレッジ)は22日、創立30周年を記念して沖縄ポリテックビジョン2023を開いた。ものづくりの重要性について県民に広く周知、理解を図るためのもの。下地島空港利活用で宇宙港事業を行っているPDエアロスペース(愛知県名古屋市)の緒川修治代表が記念講演で登壇。同社が現在行っている開発機の試験飛行の様子などを紹介し、「国家事業に限らず、誰もが宇宙に参入していい時代になった。宇宙空間をビジネスの場にしていきたい」と展望を語った。
 PD社は県の下地島空港利活用事業に採択され、「宇宙に行ける島、下地島」をキャッチフレーズに宇宙旅行機開発に取り組んでいる。緒川代表は「父が家に実験室を持って、町の発明家みたいなことをしていた。いろいろな器具がある環境で育ち、門前の小僧でものづくりが大好きで育った」と自己紹介。「父の実験室を借りて1人で宇宙事業の会社立ち上げ、県に採択されるまで約10年かかった」と振り返った。
 かつては国家事業だけだった宇宙開発に民間事業者が参入するようになり、宇宙ベンチャーに投資が集まるようになったと話す。緒川代表は「2000年代初頭からアメリカで民間事業化から始まり、日本では約15年遅れて動きが広がった」と説明した。
 PD社は、ジェットとロケットが一つのエンジンで機能する技術の特許を持っていることが特徴。大気中では飛行機と同じようにジェットで飛び、宇宙ではロケットに切り替えられる機体の開発を目指している。現在は開発6号機の飛行試験中。テレビ局の中継車を改造して作ったという通信車両から操縦するという。無人機の大型化や有人飛行実証を経て、30年の商業運航開始が目標。
 緒川代表は現在57社が登録している「下地島宇宙港事業推進コンソーシアム」も紹介。「宇宙イコール国家事業ではなく、誰が何をやってもいい時代に変わった。宇宙をビジネスの場にしていきたい」と語った。
 政府は40年以降に、年間52万人が月に、200万人が宇宙ステーションに旅行する時代を想定していると述べ、「私が聞いても驚くような目標。『こんな世界ができたらいいよね』とイメージし、そのために今何ができるだろうと考えて取り組んでいる」と語った。

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