台風の歴史や備蓄品の展示も行われた =未来創造センター

災害被害記憶し備えを 防災講演会で呼び掛け

 防災に関する知識の啓発と防災意識の向上を図ることを目的に、2022年度宮古地方防災講演会(共催・市など)が17日、未来創造センターで開かれた。市総合博物館学芸員の湯屋秀捷さんが「災害の記録と記憶」、宮古島地方気象台の林和彦台長は「台風マエミー(2003年第14号)から20年」をテーマに講話。災害の被害を記憶し、常に備えを怠らないよう呼びかけた。宮古を襲った台風の歴史や避難用の常備品展示も行われた。
 共催者を代表して伊川秀樹副市長が「全国各地でさまざまな災害が発生し、甚大な被害をもたらしている。市でも今年、10月の24時間降水量が観測史上最大を記録し、作物への被害が懸念されている。講演を通して防災意欲の向上につながることを祈念する」とあいさつした。
 湯屋さんは歴史書や伝承、ことわざに残る宮古の災害を紹介。地震や津波、暴風といった自然災害と飢餓や疫病の流行は、ある歴史書には17世紀後半からの約200年間で11件、別のものには18世紀後半からの約100年間で12件記録されているという。
 現代社会では技術の進展で自然災害の予測がある程度可能になったとした上で「具体的に災害に遭った時の備えや対応などは、人の記録や経験が大きな役割を果たすこともある。現在われわれが直面する災害の記憶や経験を後世に残して行くことも大切」と述べた。
 林台長は2003年9月に甚大な被害をもたらした台風14号の特長や教訓を解説。「台風慣れ」があり対策を怠っていたことなどを指摘し、「台風は必ずやってくるので、過去の経験に学ぶことが大切。常日頃から対策を講じ、気象台からの情報を利用して自分の身は自分で守るようにしてほしい」と呼びかけた。
 台風14号は最低気圧912と宮古史上2位の低さだが、強風域は半径380㌔と「大型」ではなかった。林台長は「気圧が低く小さい台風はかえって危険。大きいものは段々風が強くなるので備えられるが、急劇に変化して逃げられなくなっていることがある」と述べた。
 備蓄品展示について市職員は「一例として紹介している。それぞれ必要なものは違うので、自分でそろえて万一の事態に備えてほしい」と説明した。

林台長
湯屋さん

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