(左から)折田さん、大城教育長、友利部長。手前に並ぶのが全10冊の「綾道」 =宮古島市役所

「綾道」全10冊が完成 宮古島市教育委員会

 宮古島市教育委員会(大城裕子教育長)は19日、市役所で記者会見を開き、「綾道―下地南・上野野原コース―」をこのほど発刊したことを報告した。綾道とは「趣のある道」の意味で、宮古島市の伝統文化や史跡を文化財散策コースとしてまとめたもの。2012年度から事業を開始し、10冊目となる「下地南・上野野原コース」で市内全域を網羅した。市役所1階など各公共施設で無料配布しており、市教委は多くの人に手に取ってほしいと呼び掛けている。

 市教委は沖縄振興特別推進市町村交付金(一括交付金)を活用し、市内各地の伝統文化や史跡を文化財散策コース「綾道」としてまとめてきた。このほど「下地南・上野野原コース」を発刊したことで、地域別の9冊と戦争遺跡編1冊の全10冊が完成した。
 綾道は全巻A5版のフルカラー。写真やイラストが豊富で親しみやすく、ほとんどの漢字に読み仮名が振られているため小さい子どもでも読むことができる。伝承の由来や詳しい解説など、コラムが多いのも特徴の一つとなっている。
 下地南・上野野原編は59ページで発刊部数1万2千部。下地の上地・洲鎌・与那覇などの地域と、上野の野原地域を対象に、20の文化財を取り上げている。市役所1階ロビーや3階の生涯学習振興課、砂川中跡地の歴史文化資料館や未来創造センター、総合博物館、旧町村部の各出張所で無料配布中。市内の小中学校にも配ったという。
 大城教育長は「各地の文化財の魅力をより一層感じてもらえるよう工夫を凝らした。是非とも島内外の多くの人に手に取ってもらいたい」とPRした。
 作成に関わった市職員の折田明日香さんは「これまで文化財などに興味がなかった人でも気軽に読むことができ、身近な地域の歴史に興味を持つきっかけになると思う」と話した。
 友利克生涯学習部長は「一括交付金ではさまざまな事業を行ってきたが、ソフト交付金の趣旨に沿った有意義な事業だったと思う」と述べた。21年度は史跡の清掃も含めて約1700万円を計上した。綾道で取り上げた史跡は、多くの人が訪れることを想定して、看板の設置や年5回の清掃を行っているという。

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