「T乾」効果で加速か 急増するコインランドリー、洗濯機普及率99%でも「利用したい」「開業したい」理由
今年の夏ドラマで最も注目を浴びた作品といえば、TBS系「Tシャツが乾くまで」だろう。作中で主人公たちが出会い、顔を合わせる舞台となっていたのがコインランドリー。洗濯物が乾くまでの時間に会話が生まれ、そこから物語が動いていく展開も話題を呼んだ。
コインランドリーがドラマの中で描かれたケースは、今回に限った話ではない。フジテレビ系「銀河の一票」、日本テレビ系「冬のなんかさ、春のなんかね」、TBS系「凪のお暇」、NHK「おかえりモネ」、テレビ東京系「みなと商事コインランドリー」など、これまでにも印象的な場面で使われてきた。
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ドラマの露出増と歩調を合わせるかのように、現実のコインランドリー市場も拡大している。経済産業省の報告書によれば、コインランドリーは全国に約2万6000店。コンビニが約5万7000店規模であることを考えれば、その半数近くに達する計算だ。2025年の事業者売上高合計も約1155億円。共働き世帯の増加や家事の時短需要が、利用を押し上げている。
それにしても、洗濯機の普及率が99%に達するとも言われる日本で、なぜコインランドリーの需要が高まっているのか。その理由の一つが「時間」だ。洗濯機を回すこと自体は難しくない。面倒なのは、その後の物干しや取り込み、あるいは乾燥。仕事や育児に追われる世帯にとって、洗濯から乾燥までを大型機で一気に済ませられる利便性は大きい。1~2時間程度で仕上げられるケースもあり、家事にも「タイパ」を求める層を取り込んでいる。
もう一つが「量」。布団、毛布、カーペットなど家庭用洗濯機では扱いにくい大物は少なくない。大型の洗濯乾燥機ならまとめて処理でき、干す場所にも悩まされにくい。経産省の報告書でも、布団や毛布の洗濯需要が伸びており、花粉やダニ対策を意識した利用が増えているという。
洗濯は自宅、乾燥だけ店に任せる使い方もある。雨の日や洗濯物が多い日に大型乾燥機を利用する。つまり「洗濯機がないから行く」のではなく、「家庭では手間のかかる部分だけを外に出す」という発想なのだ。
開業する側にも事情がある。無人運営の店舗なら常時スタッフを置く必要がなく、衣料品店や飲食店のように商品在庫を抱える必要もない。人手不足が続く中、土地活用の選択肢として検討されるケースもある。
とはいえ、店舗を構えれば安定して収益を得られるわけではない。洗濯機や乾燥機の設備投資に加え、光熱費、清掃、修繕、維持費もかかる。立地によって利用者数も左右されるうえ、競合店との差別化も必要になる。そこで、スマートフォンで空き状況を確認できるサービスを導入したり、カフェスペースを併設したりするなど、利用者の利便性や快適さを高める工夫も広がっている。
そこに加わったのが、ドラマという新たな追い風だ。「Tシャツが乾くまで」をきっかけにコインランドリーを利用してみようと思う人が増えれば、需要のさらなる拡大も期待できる。利用者が増え、需要が高まれば、新たな出店を促す動きも強まるだろう。「T乾」効果で、コインランドリー市場の伸びがさらに加速する――。そんな展開もありそうだ。






